コロナ禍の長期化が、佐賀県内の企業の経営に影を落としている。政府は昨年から「実質無利子・無担保融資」で企業の資金繰りを下支えし、政府系金融機関については申請期限を12月末まで延長したものの、民間金融機関の取り扱いが3月末で終了。金融機関は今後、返済猶予や融資の条件変更などの対応を迫られる。手厚い資金繰り支援の副作用として債務過剰への懸念も指摘されており、資金面だけでなく本業の立て直し支援をどう着実に進めていくかが問われる。

 「ゼロゼロ融資」とも呼ばれる実質無利子・無担保融資に関し、民間金融機関では信用保証協会の保証が付く。佐賀県信用保証協会の2020年度の保証承諾は、1万95件で1843億2524万円と、それぞれ前年度の約4・1倍、約7・2倍に膨らみ、平成以降では過去最大となった。全保証承諾の約95%をゼロゼロ融資が占めた。

 こうした資金繰り支援が下支えし、県内の企業倒産は低水準で推移している。東京商工リサーチ佐賀支店によると、2020年度の県内の企業倒産(負債額1千万円以上)は、件数38件が過去7番目、負債総額36億4100万円は4番目に少ない水準で、10億円を超える倒産は発生していない。

 「無利子・無担保」という借り入れのハードルの低さから過去に類を見ない利用状況となったが、その内実、懸念材料は尽きない。資金繰りは改善したものの、コロナ禍の長期化によって本業の回復が見通せない事業者が少なくないからだ。

 飲食、宿泊業は客足回復の足取りは重く、業種によって景況感にばらつきが見られる。東京商工リサーチが6月初めに実施した調査では、大企業の15・4%、中小企業の34・2%が「過剰債務」と回答している。佐賀県内の金融関係者も「ゼロゼロ融資を利用したものの業況が改善せず、過剰債務に陥っている事業者は少なくない」と話し、状況次第で倒産が相次ぐという危険性を指摘する。

 県内のゼロゼロ融資に関して、元本の返済が免除される「据え置き期間」を1、2年としている事業者は半数以上で、早い事業者は既に返済が始まっている。信用保証協会には4月以降、融資の返済猶予など条件変更に関する相談が増えてきているという。

 コロナ収束が見通せない中、資金面の支援だけでは根本解決にならないということは、各金融機関も認識している。伴走型の支援を打ち出し、コロナ禍で生活様式や社会のありようなどが変容する中、事業者と一緒に時代に適応したビジネスモデルへの立て直しを模索している。

 ここで問われるのは、的確なコンサルティング力と息の長いサポートの仕組みを構築できるかだ。新たなビジネスモデルへ転換し、経営を安定軌道に乗せるまでには一定の時間がかかる。事業者の状況を一番把握している金融機関を中心に、よろず支援拠点や中小企業再生支援協議会など専門知識や情報、ノウハウを持っている各種組織、行政などが連携して手厚く支えていくことが必要になってくる。

 関係機関は実効性のある支援のために知恵と工夫をさらに重ねていきたい。(梶原幸司)

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