唐津焼を生み出す陶芸家を紹介する「炎の肖像」を4月から連載している。唐津に来て、焼き物の取材をすることが格段に増えた。ただ作品から受ける印象を言葉にするのが難しくて、ギャラリーに行くといつも緊張してしまう。

 「見ていても、観察していない」。手に取った美術本には、作品を時間をかけて観察する大切さが書かれていた。歴史的な背景や作者の略歴のほかに、自分が感じ取った作品への印象の理由を問い続けることが言語化するうえで必要と説いていた。

 今回取材した土屋由起子さんは、手掛けた器が自分の手元から離れると、客観的に見ることができるという。土屋さんは茶道教室にも通っていて、広い和室の中での茶わんの存在感や他の人が手に取る姿からも気付きを得ている。「角度によって、色や見え方が変わってくる」と、器に広がりが出てくるそうだ。

 取材で器を撮影する時も、正面をどこにするかで印象は大きく変わる。無地でもぽつぽつとした黒点があったり、ひっくり返すときらっとした輝きが見つかったり。自分の目に映った唐津焼の魅力が伝わるよう、観察する大切さを心に留めながら取材したい。

(唐津支社・横田千晶)

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