任期満了に伴い8月29日告示、9月5日投開票の日程で実施される多久市長選で、市選挙管理員会は投票所を11カ所から9カ所に変更する。開設を見送る2カ所のうち1カ所は東多久町の養護老人ホームで、施設が狭く、新型コロナウイルスの感染予防が困難などとして廃止し、約1キロ離れた東多久公民館に統合する。市長選は8年ぶりの選挙戦になる公算が大きくなっており、有権者からは投票の利便性が損なわれ、関心の高まりに水を差しかねないとの声も上がっている。

 市選管事務局によると、老人ホーム側から昨年9月、感染防止のため投票所の開設を控えてほしいと相談があった。従来、施設利用者と有権者の見分けが付きにくいという課題もあった。近くに事務スペースや駐車場を確保できる代わりの施設はないため、地元区長の了承を得て1キロ離れた投票所との統合を決めた。

 見直したもう1カ所は北多久町の社会福祉会館で、新型コロナワクチンの集団接種会場になっているため、最寄りの投票所の北多久社会体育館を利用する。秋までに実施される衆院選も同様の対応になる見通し。

 ワクチン接種終了後の福祉会館の対応について、市選管事務局は「社会体育館との距離が近く、投票所として利用を続けるかどうか、地域の意見も聞いて判断したい」としている。

 6月1日現在の選挙人名簿登録者数で見ると、変更後の東多久公民館の投票区は2982人、北多久社会体育館は3192人で、それぞれ従来の2倍程度になる。北多久社会体育館は、混雑を避け、スムーズな投票を行えるように総務省が1投票区当たり3千人としている有権者数の適正規模を上回る。

 多久市での直近の選挙は2019年の参院選で、投票率は48・87%だった。

 これまで養護老人ホームで投票をしてきた元区長の男性(70)は「車を手放した高齢者など、投票に行きづらくなる人が出てくる」と投票率の一層の低下を心配する。同じ投票区の自営業の男性(60)は「市長選は久しぶりに選挙戦になる可能性が出てきた。有権者の関心を高め、投票率を上げようという取り組みが必要なのに、真逆の動き」と指摘する。

 市選管事務局は「期日前投票の利用が増えている状況も踏まえて変更を決めた。選挙公報などで周知を徹底する」と説明している。

 議員辞職に伴う市議補選(欠員1)も市長選と同日程で実施される。(谷口大輔)

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