大阪府吹田市の吹田署千里山交番で2019年6月、古瀬鈴之佑(こせ・すずのすけ)巡査長(28)=佐賀工業高出身=を包丁で刺し拳銃を奪ったとして強盗殺人未遂などの罪に問われた無職飯森裕次郎被告(35)は19日、大阪地裁(渡部市郎裁判長)の裁判員裁判初公判で起訴内容を認めた。弁護側は責任能力を争うとして無罪を主張した。

 被告は「たぶん僕がやったであろうことは認めますが正直よく分かりません」と述べた。弁護側は起訴内容は争わないとした上で「被告は統合失調症にかかり、責任能力がなかった」とした。

 検察側も冒頭陳述で、被告が犯行時は統合失調症で、責任能力は限定的だったと認めた。

 一方で検察側は、被告は犯行前、沖縄に旅行しゴルフや海水浴をしたり、同級生に連絡したり、社会性のある行動を取っていたと説明。弁護側は事件の数年前に統合失調症と診断、治療を続けていたが、症状が改善し薬剤の量を減らして再び悪化し、沖縄旅行の際は入水自殺を図る状態だったと訴えた。

 検察側冒頭陳述や起訴状によると、被告は犯行当日の19年6月16日、千里山交番の周囲を歩き回り、交番の勤務態勢を把握した上で公衆電話から虚偽の空き巣被害を申告し当時巡査だった古瀬巡査長が1人になったところを狙って襲撃。古瀬巡査長の胸などを出刃包丁で多数回突き刺し拳銃を奪って職務を妨害した。

 その後逃走し、吹田市のスーパー「イオン北千里店」で衣服や靴を買って着替え、コンビニで犯行時に履いていた靴を捨てた。翌17日、逃走先の大阪府箕面市の山中で、奪った拳銃と実弾4発を所持したとしている。

 検察側は「巡査長に命に関わる傷害を与え、住民に極めて大きな恐怖を与えた」と指摘した。

 捜査関係者によると、被告は逮捕当初「病気がひどくなったせい、周りの人がひどくなったせいだ」と供述。約5カ月の鑑定留置の結果、統合失調症と診断された。古瀬巡査長は一時意識不明となったが回復した。【共同】

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