選手村や水泳会場で選手の診療に当たる黒木崇子さん

 国際オリンピック委員会(IOC)認定のスポーツドクターとして東京五輪に臨む女性医師がいる。子どものころからさまざまな競技に打ち込み、筑波大大学院でスポーツ医学を研究する黒木崇子さん(33)=佐賀市出身。東京・晴海の選手村や水泳競技会場の東京アクアティクスセンターで診療に当たる。「競技者としてたくさんお世話になった。次は自分が恩返しする」と意気込んでいる。

 黒木さんは、幼少期から水泳など多くのスポーツで汗を流してきた。中学時代や佐賀大医学部在学中、水泳、ボートの佐賀県代表選手として国体や全日本大学選手権などに出場。入賞を飾るなど第一線で活躍する中、会場で選手を支えるスポーツドクターの存在を身近に感じてきたという。

 2013年に東京五輪の開催が決まると「選手の気持ちが分かり、現場を大切にできる医師になりたい」との思いはさらに強くなった。国内外でスポーツ医学を学び、競技現場でも診療活動を続けた。2年間に及ぶIOCのスポーツドクター養成講座を受講して最終試験に合格。晴れてIOC認定のスポーツドクターになった。選手村の診療医師の募集を知り、すぐに応募した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で五輪は1年延期になった。医師としてコロナ対応に追われる中、「スポーツ現場でのコロナ対策について情報を収集してきた」と黒木さん。各国のさまざまな事情を知ることで、現場対応の引き出しを増やしてきたという。

 今回は、コロナ禍によるスポーツ活動の停止期間などが影響し、コンディションが十分でない選手が出場する可能性もある。黒木さんは「普段より傷病者が増えるかもしれない」と予想し、競技者としての経験があるからこそ「どんな疾患が多いかなど感覚的に分かる部分は大きい」と語る。

 開催可否や観客問題などで最後まで揺れ続けたが、「携わることができ、本当にうれしい。選手が最高のパフォーマンスを発揮できるように、しっかりとサポートしていきたい」。世界のトップアスリートが集う祭典の開幕を心待ちにする。(小部亮介)

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