鳥栖-名古屋 後半3分、同点のシュートを決め、喜ぶ鳥栖MF中野嘉大=鳥栖市の駅前不動産スタジアム(撮影・鶴澤弘樹)

 スタンドを埋めた8千人を超す鳥栖サポーターが湧いた。後半、怒濤(どとう)の3連発。今季2度目の逆転勝利を収め、4位に浮上した。金明輝(キン・ミョンヒ)監督の代わりに指揮を執った片渕浩一郎ヘッドコーチは「サポーターの皆さんに勝ち点3を届けることができて素直にうれしい」とうなずいた。

 逆転勝利への流れをつくったのは、3月末に札幌から期限付き移籍で加入したMF中野嘉大=佐賀東高出身=だった。「とにかく足を振ることを意識した」。1点を追う後半3分、左サイドの敵陣中央でボールを受けると、そのままドリブルで駆け上がり、右足を一閃(いっせん)。相手DFに当たりながらもゴールネットを揺らし、移籍後初ゴールを決めた。

 中学卒業後は、地元・鹿児島を離れて佐賀東に入学。「将来、サッカーで高みを目指す上で、当時の自分に合っていた」。高校3年間は佐賀の地で技を磨き、「佐賀東と鳥栖のシステムは似ていて、選手の間に立ちながら前進するところは高校時代と重なる部分がある」と話す。

 活躍の場を求めて鳥栖への移籍を決意したが、チームは好調な一方で自身にはゴールが生まれず、もどかしさを感じていた。それでも、待望の一発を決めて「成長した姿を見せることができてほっとしている」と白い歯をこぼした。

 この日の勝利で、昨季の最終通算勝ち点「36」を超えた。一つでも上の順位で戦い続けることで選手の士気も必然と高くなる。試合前に片渕コーチは「魂を揺さぶる戦いを見せたい」と力を込めた。苦難の状況でもつかんだ、この勝利は上位で戦い続けるための「魂を揺さぶる」1勝となるに違いない。(井手一希)

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