文化庁は16日、地域のさまざまな文化財を生かして観光振興につなげる「日本遺産」18件に対し、これまでの取り組みや今後の計画を評価し、14件を「認定継続」、4件を「再審査」としたと発表した。評価制度は遺産の水準維持のため本年度から導入した。結果の公表は初めて。「認定取り消し」とされた遺産はなかったが、同庁は更新を保留した4件について、秋以降に公表する再審査の結果次第で取り消しもあり得るとしている。

 また文化庁は新たな候補に「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」など3件を選んだ。これから3年間の活動が十分と認められれば追加される。

 評価対象の18件は、全て2015年度に第1弾として認定された。再審査の4件は島根県の「津和野今昔」や、福岡・佐賀の7自治体で構成する「古代日本の『西の都』~東アジアとの交流拠点」など。いずれも今後3年間の取り組み計画に対する評価が3段階で最も低かった。文化庁は4件の関係自治体に計画を修正し、9月中旬までに再提出するよう求めた。

 継続となった14件のうち、優れた取り組みを行っている4件は他地域のモデルとなる「重点支援地域」に選ばれた。富山県の「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡」は、地元大学生によるガイドツアーといった積極的な地域連携が評価された。

 日本遺産は現在104件で、目標の100件を超えた。文化庁は総数をおおむね維持した上で、活動が不十分な遺産の取り消しと新たな候補の追加認定を進める。審査では今後の計画のほか、観光客数などの目標達成度や、ガイド育成や案内板整備といった取り組みを確認した。(共同)

■基山町、再審査に戸惑い

 文化庁が16日、三養基郡基山町を含む福岡・佐賀の7自治体で構成する日本遺産「古代日本の『西の都』~東アジアとの交流拠点」を再審査対象にしたことを受け、関係自治体には戸惑いが広がった。基山町の担当者は「再審査になったという連絡しかなく、詳しい内容が分からない。情報を集めたい」としている。

 西の都は2015年4月、福岡県太宰府市の大宰府跡などが認定された。当初は太宰府市だけだったが、20年6月に基山町など6自治体が追加認定され、基山町は町北部の基山(きざん)にある基肄城跡の遺構が構成文化財になっている。

 事務局を務める福岡県文化財保護課によると、再審査になった理由は文化庁から示されていないものの「審査委員会の中で『ストーリーが足りない』という指摘があった」と話し、歴史的な魅力や文化・伝統を語る部分の不十分さが示されたという。担当者は「7自治体全体のストーリーが足りなかったかもしれない。多くの人に分かりやすいように練り直し、日本遺産を継続できるように努力したい」と述べた。

 基山町の担当者は「構成自治体で一体感を持ち、何ができるか考えていきたい」と話す。(瀬戸健太郎)

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