タブレット端末の内蔵カメラに向けて商品を示して説明する「オンライン接客」の練習をする佐賀玉屋の従業員=佐賀市

たデジタルサイネージ機器。佐賀玉屋では10台導入、エスカレーター前に設置し、時間帯に応じた情報を流す

開店前にワイヤレスのマルチキャッシュレス決済端末の使い方を練習する従業員ら

 佐賀玉屋(佐賀市、田中丸雅夫社長)は、DX(デジタルトランスフォメーション)による業務改革を進めている。県の推進事業に採択され、昨年10月から取り組みを重ねている。タブレット端末を使ったオンライン接客、リアルタイムでの在庫管理情報の共有などでサービス向上や現場の省力化を試行している。軌道に乗れば、文字通り多様な商品を広大な売り場で取り扱う従来の業態が変わる可能性も見えてくる。現場の模索を取材した。

 「こちらの商品の横、後ろ、中はこのようになっております」。6月下旬、開店前の衣料品売り場で、タブレット端末の内蔵カメラに向かって商品を回しながら全体を見せ、丁寧に説明する従業員の姿があった。他の従業員は周りでその様子を見学。オンライン販売の講習を受けていた。

 タブレットを140台購入し、うち40台を売り場の接客用として配置した。店頭の商品をカメラで映し出して、オンライン先の利用客に示すだけでなく、店頭にはない色違いの商品の画像を検索してその場で紹介することもできる。

 佐賀玉屋では県の補助事業に採択されたことを契機にデジタル化のための設備投資を実施。タブレットのほか、デジタルサイネージ(電子看板)、Wi-Fi(ワイファイ)設備、キャッシュレス決済対応端末などを次々導入した。総事業費は約1億円にのぼる。

 今回の事業で基幹システムを一新。タブレットと連携させて商品の在庫をリアルタイムで把握できるようになった。「外商先のお客さま宅で1点物の注文を受けても、会社に戻ると店舗で売れて商品がなかったということもあった」と担当者。環境整備でさらなるサービス向上につなげる。

 将来的には顧客の属性と購入履歴をデータベース化することで、ニーズに応じた商品管理、的確なサービスの提供につなげたい考えだ。また業務改革の取り組みとして、社内で回していた伝票や押印も廃止してデジタル化、ペーパーレス化を進めるとともに、会議なども含めオンラインでの実施に切り替えていく方針。

 ネットにも注力することで限られた商品と営業時間を広げ、24時間どこからでも幅広い商品の買い物ができる。「ネットと実店舗の併用で、顧客は商品を店頭で手に取り納得して購入することができ、店舗側も商品を厳選して扱える」と担当者。「将来的には商品の販売だけでなく作家の紹介や産地の情報など、さまざまな情報の窓口となることを目指したい」と新たな百貨店像の一面を例示する。

 担当者は「チャレンジする環境は整った。世の中の動きや次々と生まれる新しいサービスに遅れることなく対応していきたい」と意気込んだ。(志波知佳)

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