父である相田みつをが作品に込めた思いやエピソードを紹介する相田一人館長=佐賀市の佐賀県立美術館

 書家で詩人の相田みつを(1924~1991年)の生涯を約130点の作品とともにたどる「没後30年 相田みつを全貌展~みつをが遺したもの」(佐賀新聞社、RKB毎日放送主催)が11日、初の日曜日を迎えた。会場の佐賀県立美術館は多くの来場者でにぎわい、見る人の心に寄り添うような作品を堪能した。

 みつをの長男で、相田みつを美術館(東京)の相田一人(かずひと)館長(65)によるギャラリートークはこの日が最終日。相田館長は美術館が入る、東京国際フォーラムが東京五輪・パラリンピックの競技会場となって臨時休業しているため「今、これほど多くの作品を見られるのは全国で佐賀だけ」とユーモアを交えて語った。

 代表作である「にんげんだもの」については「7文字の短い言葉に、父の全ての思いが凝縮されている」と解説。独特な字体についても、「素朴で子どもが書いたような字とも言われるが、ものすごくバランスを計算し、考えて書いている」と述べ、伝統的な書体を用いずに自らの言葉にふさわしい書体を探究していった父の姿を振り返った。

 作品を額装する際に、余白を1ミリ単位でこだわったというエピソードを語り、「今回の展示でも同じサイズのものは一つもない」と明かすと観衆からは驚きの声が漏れていた。

 来場した佐賀市の70代主婦は「ギャラリートークで、その時々の自分を映す鏡のような作品という話があり、本当にそうだと感じた。ずきっ、ずきっと心にきます」と1文字1文字をかみしめていた。

 相田みつを全貌展は8月22日まで。月曜休館。(大橋諒)

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