「かぶとむし 初めてつかみし 笑顔かな」 この句は吉野ケ里歴史公園のかぶとむしハウスで、息子の情景を詠んだ句です。いよいよ夏本番の季節となりました。

 さて、私の担当回では、脳神経内科やリハビリテーションに関する医療テーマのご質問を募集しています(佐賀新聞 診察室から 南里担当回 宛先:media@saga-s.co.jp)。今回のテーマは前回からの続きで、「認知症」の予防・対処法についてです。

 認知症研究において、文化・芸術的活動は認知症の予防や進行抑制に効果があるとされています。一方で現在は新型コロナの影響で、外出し季節感を味わうことが困難な状況が続いています。

 俳句には季語があり、多くの言葉の中から言葉を選択すること、また俳句を作りに吟行すること、歩くことは前頭葉にもいい影響を与えると言われています。以前、本紙でも俳人の夏井いつき先生のご講演「俳句と豊かに生きる方法」がご紹介されていました。

 また、老健施設などで外出やご家族との面会が困難な方々に少しでも季節感を味わいながら音楽を楽しんでもらおうと、当院デイケアや老健施設では季節に合わせた選曲で、ピアノやギター、パーカッションなどでのミニコンサートを開催させていただいています。患者さんや利用者の方々の笑顔が、私自身のピアノの練習の励みにもなっています。

 また最近は、独居で認知症の方々のご相談が急速に増えています。独居で人との会話がなく家に閉じこもりになっていると、認知機能の低下だけでなく脳卒中の発見も遅れます。

 認知症の相談窓口として佐賀市を例に挙げると、中学校区ごとに「おたっしゃ本舗」さんがおられ、お近くの公民館からもご紹介いただけます。ぜひ地元の公民館での認知症教室やいろんなサークル活動、また介護サービスなどを利用しながら、人と人との和、四季折々の風景や音楽、芸術など楽しんで、多くの人と笑顔で心豊かな生活を育んでいただければと思います。

 (JCHO佐賀中部病院 脳神経内科・リハビリテーション科 部長 南里悠介)

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