(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会

 私たち佐賀県民は、アニメ「ゾンビランドサガ」の世界の中にいる。作中の風景は県内に実在し、そこに自分の姿を想像することもできる。きっと佐賀県民ならではの楽しみ方だ。タイトルから佐賀を冠し、登場人物は「佐賀を救う」と繰り返すのだから、もはや佐賀はもう一人の主人公と言える。

 これほど地域色を全面に押し出しているのに、佐賀をよく知らない人も置き去りにしない魅力がある。ゾンビがアイドル活動で佐賀を救うという突飛な設定と個性際立つキャラクターがギャグを満載にする一方、適度な謎を含むシナリオに声優陣の演技と歌、粒ぞろいの楽曲が掛け合わされ感動を呼ぶ。実際の人間の動きを取り込むモーションキャプチャーを駆使したアニメーション技術にも驚かされる。人気が出ないはずがない。

 「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」とは江戸中期の佐賀藩士・山本常朝による「葉隠」の一節。国のための死を賛美するものと戦後は禁書扱いも受けたが、近年は、常に死を思うことで生を輝かせるよう説く内容だと再評価されている。

 本作でもたびたび引用されるが、そうでなくとも作中のアイドル「フランシュシュ」はこの一節を体現するものだと分かる。メンバーは全員がアイデンティティーに「死」を抱える存在。世間にゾンビとばれるリスクを冒しても佐賀や自身の夢のために舞台に立つ。特に第2期「リベンジ」では、彼女たちがさらなるステージに向かう「覚悟」を描いていた。

 佐賀の危機に立ち上がる彼女たちの姿に心を打たれ、ついこんなことを思う。「佐賀県民として、これを見て楽しむだけでいいのか」

 佐賀に暮らす私たちは、作品の世界をつくり変えることができる。どんなファンも知らない最終回の後日談をこの手で描くという、特別な楽しみ方が許されている。現実に向き合う地域課題は知名度不足や人口減、若者の流出に高齢化などいずれも重いが、佐賀の未来を彼女たちと一緒に築けるのは私たちだけだと思えば、何か熱い力が湧いてくる。彼女たちも直接は言わないまでも、曲を通じて繰り返し訴えている。「アツクナレ」「ヨミガエレ」「輝いて」と。(メディア局コンテンツ部 志垣直哉)

【関連記事】
このエントリーをはてなブックマークに追加