多久山笠で組み立てられる提灯山。今年はJR多久駅前に展示される=2019年8月16日、多久市北多久町

 8月15、16日に予定していた多久市の夏祭り「多久山笠」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止が決まった。中心部を練り歩く巡行を2年連続で取りやめる代わりに、提灯(ちょうちん)を飾った山笠をJR多久駅前に展示する。昨年は中止になった祭り囃子(ばやし)の練習も再開し、70年を超える伝統を受け継いでいく。

 多久山笠は、無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る天徳寺(北多久町)の盆綱引きが起源とされる。戦後の1948(昭和23)年に再興されて以降、人形や提灯を飾った山笠が多久駅周辺を練り歩き、地元の20~30代の若衆たちが提灯山の組み立て、小中学生が囃子の笛や鉦(かね)、太鼓を受け継いでいる。

 実行委員会の6月の役員会で、昨年に続く巡行の中止を決めた。2日間で2万人を超える人出が見込まれ、感染対策が難しいと判断した。一方、少子高齢化で伝統の継承が難しくなっている状況に拍車が掛かるという懸念が示された。「子どもたちの古里の思い出がなくなる」「地域に元気を届けられないか」-。協議を重ね、提灯山の展示と囃子の練習の再開を決めた。

 提灯山は8月8日から15日まで展示し、囃子の練習は7月下旬から始まる。例年よりも規模は小さいが、企業や団体の協力を得て花火の打ち上げも計画している。地元の荕原(あざんばる)区長で実行委の吉松喜介さん(70)は「本来の形ではなくても提灯や花火をともし、祭りの伝統と風情をつないでいきたい」と話す。(谷口大輔)

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