マネジャーとしてチームを支えてきた山口達也君(左)と市丸虎之介君=伊万里実業高

 10日に開幕する全国高校野球選手権佐賀大会。第2日に登場する伊万里実業の野球部には、2人の3年生の男子マネジャーがいる。ともに選手としてグラウンドに立つのを途中で諦め、裏方でチームを支えた。「みんなと一日でも長く野球をしたい」。選手たちと同じ気持ちで最後の夏に臨む。

 大会を間近に控えた同校のグラウンド。金属バットの快音が響く打撃練習で、打者に黙々と投げているのはマネジャーの山口達也君だ。フリー打撃では必ず投手を務め、1日100~200球を投げてきた。

 中学時代は投手。高校でもエースナンバーを背負うつもりだった。しかし、1年の夏に練習試合でサードを守っていた時、強烈な打球が右側頭部に当たり、陥没骨折で入院した。医者から「選手としてはやらない方がいい」と言われ、どうしようか迷ったまま1カ月後にグラウンドに戻った時、「マネジャーとして野球を続けよう」と決めた。

 もう一人のマネジャー、市丸虎之介君が選手から転向したのは2年の夏。新チームになってすぐに秀坂常紀監督から「この先も試合に出るのは難しいと思う。マネジャーとしてチームに貢献してほしい」と打診された。「いつかはレギュラーを」と思っていたのでショックだった。考える時間をもらい、1週間後に返事をした。

 長年高校野球に携わってきた秀坂監督が、前向きに練習している選手にマネジャーへの転向を持ち掛けたのは初めてという。高校再編で2校が統合したのをまとめるのが難しく、チームづくりを補佐してくれる存在を必要としていた事情もあった。「誰にでも平等に接し、慕われている彼だからお願いできた。きつかったと思うが、主将と一緒にチームを引っ張ってくれた」

 2人は外野守備のノッカーも務めるので、選手と同じように真っ黒に日焼けしている。「いつもありがとね」。仲間のひと言がうれしくて、ここまで続けられた。初戦の相手は優勝候補の東明館。グラウンドの選手と心を一つにして、スタンドから応援する。(青木宏文)

このエントリーをはてなブックマークに追加