父親の育児休暇取得促進のために、6月3日「出生時育児休暇(男性版産休)」が新設され、来年4月から企業には従業員への働きかけが義務付けられます。世界で最も充実した育休制度を持つ日本ですが、男性の育休取得率は7.48%です。そのような中で男性の産休取得をどのように促進するかは難しい問題です。

 ネット上では、男性版産休について熱い議論が交わされています。メリットには組織生産性の向上、企業イメージの向上が、デメリットには職場復帰の際の不安、人事考課で不利益な評価を受ける、収入が減少する、体制整備に時間がかかる、社内の負担・不満が増える、パタニティーハラスメント(パタハラ)が起こるなどがありました。女性の問題と変わりありません。

 女性の育休取得率は83%と充実して見えますが、育児と仕事と両立の課題は山積みです。第1子の出産を機に半数近い女性が退職しています。復職後、子どもの病気で保育園から呼び出しを受ける、看護休暇を取るのはほとんどが女性です。女性が多い職場では育休の代替要員を確保できないところもあり、仕事を肩代わりする人の不満や負担が問題となっています。

 男性版産休の新設に当たり、ワークライフバランスの改善が難しい理由が垣間見えた気がします。管理職の多くは男性です。産休・育休で困難を抱える部下の対応をしてきた方も多いと思いますが、どこかで育児は女性の役割と感じていたのではないでしょうか。今回、男性が当事者になったことで、育児を母親や家庭に押し付けるのではなく、企業や社会が取り組むべき課題と認識されたように思います。SDGsの目標である「ジェンダー平等の実現」に一歩近づくことを願っています。

 佐賀県で、母親同士のピア・サポートを活用したサービスが7月に始まりました。そこで解決できない場合は、専門家によるオンライン相談に進み、継続支援が必要な場合には市町の保健師のサポートが受けられます。もちろん父親も支援の対象です。(佐賀大学教育研究院医学域医学系=母性看護・助産学領域=教授 佐藤珠美)一般社団法人ヘルスサポーターズイノベーション https://www.healthsupporters-i.com

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