愛知県の大村秀章知事へのリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件で、名古屋地検は29日、地方自治法違反(署名偽造)の罪で、運動事務局長(60)=同県稲沢市=と次男(28)=名古屋市千種区=を起訴、署名を水増ししたアルバイトを動員したとされる広告関連会社の前社長(38)=同市昭和区=を在宅起訴した。

 民意を問うリコール制度が悪用された前代未聞の事件は、公判に舞台を移す。事件を主導したとされる事務局長は逮捕前の取材に不正への関与を否定。逮捕後の取り調べには黙秘を続けており、法廷での発言に注目が集まりそうだ。

 また地検は、事務局長らと共に同法違反の疑いで逮捕された妻(59)と事務局幹部の女性(55)を処分保留で釈放。今後、在宅で捜査を続ける。

 関係者によると、次男は署名簿を運んだと認める一方「(事務局長から)署名集めの準備行為と言われていた」と供述し、犯意を否認。前社長は在宅起訴前の取材に、アルバイト募集業務に関し「利益が出ないどころか赤字になった」とし、積極的関与を否定していた。在宅起訴を受け、29日、「コメントは差し控える」と話した。

 起訴状によると、事務局長の妻らと共謀して昨年10月下旬、アルバイト3人に愛知県内の有権者計71人の氏名を署名簿に記載させたとしている。地検は3人の認否を明らかにしていない。

 事務局長ら4人は今年5月19日に地方自治法違反容疑で逮捕され、今月8日に再逮捕されていた。前社長は今月23日、書類送検された。

 関係者によると、事務局長は昨年10月上旬、前社長にアルバイトの動員を依頼。佐賀市の貸会議室にアルバイトを集め、同20~31日の12日間にわたり書き写し作業に従事させた。

 運動事務局は昨年11月、約43万5千人分の署名を提出したが、県選挙管理委員会は今年2月、8割超に当たる約36万2千人分を「無効」と判断。偽造が疑われるとして、県警へ刑事告発した。(共同)

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