佐賀空港(佐賀市川副町)への陸上自衛隊輸送機オスプレイ配備計画を巡り、防衛省は30日から5日間の日程で、空港西側の配備候補地の地権者560人を対象にした説明会を開く。用地の買収額や漁業振興策が耳目を集めがちだが、在日米軍の九州での共同訓練など日米が軍事的一体化を強める中、空港をどう利用しようと考えているのか、これまでは説明が乏しい印象がある。住民の不安や懸念は尽きない。防衛省は真摯(しんし)に説明すべきだ。

 防衛省は対中国を念頭に、沖縄県・尖閣諸島などの島しょ防衛を喫緊の課題と位置付けている。長崎県佐世保市の相浦駐屯地を本拠地とした水陸機動団を迅速に運ぶため、隣県の佐賀空港にオスプレイを配備しようとしている。

 2014年7月の要請から間もなく7年になる配備計画は当初、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の米海兵隊の訓練利用もセットだった。15年10月、当時の防衛相が県内を訪れ、米軍利用の要請は取り下げたものの「沖縄の負担を分かち合うべきとの考えに基づき、全国の他の空港との横並びの中で佐賀空港の活用を考慮したい」とも述べ、含みを残している。

 今回の地権者説明会で防衛省は取り下げの経緯に触れ、陸自オスプレイ17機の配備と、目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)のヘリなど約50機の移駐を改めて示すとみられるが、米軍の利用計画はないと言い切れるのだろうか。

 近年の東・南シナ海情勢を見渡せば、南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線を超えた自由な活動を目指す中国による海洋進出の動きが強まっている。これを受け、日本を含む国際社会を巻き込んだ米中「新冷戦」の様相が強まり、日本も軍備拡張路線をたどっているように映る。尖閣諸島を巡っても緊張関係が続き、対抗的な備えが進んでいる。

 鹿児島県西之表市の馬毛島で防衛省が建設を計画している自衛隊基地は、米軍空母艦載機による離着陸訓練の移転候補地になっている。鹿児島県から沖縄県にかけて約1200キロに及ぶ南西諸島では陸自の部隊が相次ぎ新設されている。配備した艦艇や対空ミサイルで中国の活動を抑止し、有事の際は全国から部隊を送り込むことを想定しているとされる。相浦駐屯地や、宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島演習場では5月、自衛隊と米国、フランス、オーストラリア各国軍が離島防衛の能力向上を目的とした共同訓練も実施した。

 こうした備えに佐賀空港を組み込むことを想定しているのかどうか。オスプレイの機体の安全性や空港の軍事利用がはらむ問題点とともに、地権者にとどまらず広く考える材料にするため、防衛省はつまびらかにする必要がある。

 県は17年5月に公表した論点整理で「佐賀空港が米軍基地化する、あるいは米軍が恒常的に利用することはないものと考える」との見解を示した。18年8月に配備計画を受諾した山口祥義知事は翌年の6月定例議会一般質問で「米海兵隊の佐賀空港利用については、何があっても極めて厳しく対応していきたいと考えている」と答弁した。

 防衛省が地権者説明会で語る言葉に注目したい。(井上武)

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