トマト栽培が行われているNJアグリサポートの大規模ハウス=三養基郡基山町長野

トマト栽培をしている環境制御型ハウス。気温や湿度、日照量などを自動制御している

 生産者の高齢化や担い手不足が深刻な農業分野に、企業が参入する事例が広がっている。佐賀県と包括連携協定を結んだ西日本鉄道グループのNJアグリサポート(福岡県大木町)は、2017年から三養基郡基山町で環境制御技術を使ったトマト栽培に取り組んでいる。企業の強みを生かして、大規模な投資で最新の施設を整備。生産した農産物を系列のスーパーで販売するなど効率的な経営を進める。一方で、採算性が課題となっており、黒字転換を見据えた努力が続いている。

 NJアグリサポートは、西日本鉄道とJA全農が出資し、2015年に設立された。鉄道沿線の地域活性化を目的に掲げ、就農人口の増加や農業の生産基盤の維持拡大をしたいとしている。

 施設園芸に取り組み、大木町ではイチゴを43アール栽培。県内では基山町で2017年秋からトマトを20アール栽培している。温度や湿度、日照量などを自動制御する最新の環境制御型ハウスで養液栽培を行い、11人がスタッフとして働いている。

 「一般的なトマトを作っても価格競争に巻き込まれるだけ」として、通常の価格帯に押さえつつ糖度が高めで「おいしい」と評価される品種の栽培を手がけている。収穫したトマトの大半は系列の西鉄ストアなどに供給。一般的な農家と違い、販売先である“出口”が常に確保されている。また、販売先がグループ会社であるため、消費者ニーズにマッチした商品づくりにもつながっている。

 4シーズン目となった昨年の収量は55トンで、反収(10アール当たりの収量)は27・5トン。平均的な農家よりかなり多いが、是永博文取締役管理部長は「大木町のイチゴを含めて、去年は黒字化へあと一歩だった」と説明。「早く独り立ちする必要があり、今年は正念場」とし、収量増やさらなる省力化による黒字化が大きな目標という。

 大木町のイチゴ栽培では毎年、3人の研修生を受け入れて地域の新規就農につなげている。ゆくゆくは、会社の利益を増やした上で農場を増やすなど横展開し、地域活性化に貢献したいという。

 新型コロナウイルスの影響を大きく受けて西鉄グループの経営は厳しくなっており、同社は昨年4~6月の繁忙期には、グループから人員を一部、受け入れた。企業の農業参入について、是永部長は「一次産業は浮き沈みがない強みがある」と評価した上で、「担い手が減少する農業分野に生産性を持つ企業が参入する動きは今後も出てくるだろう」と予測する。(宮里光)

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