企業が運営するようになって1年経過した多久市立図書館=同市北多久町

 多久市立図書館の2020年度の来館者数は1万8624人で、19年度の2倍になった。企業による運営が始まった1年目の実績で、本の利用者数、貸出冊数も前年度を上回った。市は運営の委託に伴って開館時間が延長され、利便性が高まったことが増加の要因とみている。

 来館者数は過去10年で最多。本の利用者数は19年度比15・5%増の5322人、貸出冊数が同15・2%増の2万2365冊で、9年ぶりに2万冊台となった。新型コロナウイルスの影響で4~5月に1カ月近く閉館したが、県内の公立図書館で利用が伸びたのは多久市と神埼市だけだった。

 市は人件費の上昇などで司書の採用が難しくなったのを受け、人材確保のノウハウがある企業への運営委託を検討。全国500カ所以上の公立図書館で運営実績がある図書館流通センター(本社・東京)が20年度から指定管理者になった。人件費や本の購入費など運営費は年間3550万円で、市が負担している。

 職員数は常時2人以上の体制に拡充し、開館時間は午後7時まで2時間延長されて祝日も利用できるようになった。仕事や学校の帰りに立ち寄る人が増え、午後5時以降の利用者は全体の約17%に上った。新書などの購入を週1回に増やし、取引先の企業と連携して目や耳が不自由な人も楽しめる映画の鑑賞会を始めた。児童書を中心に子育て世代の利用が大きく伸びているという。

 図書館は中央公民館の2階にあり、蔵書数は約4万2千冊。利用者と貸出数は増えたものの、いずれも県内で最低水準にとどまっている。本年度は近くの児童センターや学校で定期的な読み聞かせ会を計画しており、辻成美館長は「市民の声を取り入れ、学びや交流ができる場所にしていきたい」と話す。(谷口大輔)

このエントリーをはてなブックマークに追加