食用油の品出しをする従業員。原料価格の高騰で値上がりが続いている=佐賀市開成のアルタ開成店

 卵や食用油、マヨネーズなど、身近な食品の価格が次々と上昇している。中国での需要拡大やバイオ燃料での利用増加、昨年に猛威を振るった鳥インフルエンザの影響など背景はさまざまだ。佐賀県内の事業者からは「このままでは赤字になる」と悲鳴が上がるが、客足への影響を懸念して価格転嫁をためらう業者もいる。高騰は今後も続くとみられ、転嫁の動きが広がれば家計への負担がさらに重くなる。

 ■卵

 佐賀市内でスーパー4店を展開するアルタ・ホープグループでは、2月下旬から4月中旬までに卵の仕入れ値の上昇が4度続き、5月までにLサイズ(1パック)で40円ほど値上げした。

 JA全農たまご(東京)によると、5月の福岡の相場価格は、Mサイズが前年同月比76円増の240円(1キロ当たり)。「例を見ない高騰ぶりで、2015年5月以来」(担当者)という。昨年、各地で発生した鳥インフルエンザでの殺処分で生産量が減った上、トウモロコシを主成分とした餌の高騰が背景にある。

 同店では、高騰しても特売の目玉商品として扱う考えだ。「(特売で売値より)仕入れ値が高くなる。ただ、卵があるだけで来店が見込めるため外せない」と担当者。高騰の影響は総菜にも及び「サラダや巻き寿司にも使う。一番の痛手」。問屋への原価交渉や新メニューを模索する。

 ■大豆

 「大豆は昨年の中頃から急騰し、このままでは赤字」。県味噌醤油醸造協同組合の宮島清一理事長=宮島醤油社長=はこう話す。中国での需要拡大やバイオ燃料の利用増が影響し、県内でも多く生産されているフクユタカを含め、仕入れ値が前年比で約7割増という。「通常は半年先の分を先に買うが、今は必要な量を少しずつ買っている状態」と宮島理事長。「値上げするしかないが、そう簡単ではない」と述べ、値上げした場合に取引先が別の業者に乗り換えることを懸念する。

 ■食用油

 理研農産化工(本店・佐賀市)は油脂製品の価格引き上げを今年だけで既に3回発表している。原材料となる輸入大豆は中国の需要が強い上、主な生産地の米国での不作などが影響し価格が高騰している。「企業努力だけではコスト上昇分を吸収するのは難しい」と同社。8月2日納入分から業務用斗缶(16・5キログラム)が800円以上、家庭用、加工用はいずれも1キログラム当たり50円以上値上げする。

 佐賀市の唐揚げ専門店では、15日から食用油の値上げで、仕入れ1回につき300円のコスト増になった。月に3、4回仕入れており「8月にまた値上がりとなると大変」と店主の男性(51)。ただ、価格転嫁は考えておらず「何とか頑張るしかない」と話す。

 佐賀市のスーパーで買い物をしていた70代女性は「遠出を我慢しているから食べ物は遠慮せず好きな物を買いたいのに」と不満げ。60代女性は「セールやチラシを見ながら賢く買うしかない」とぼやいた。(志波知佳、中島佑子)

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