木材価格の高騰で、県内のホームセンターでは値上げに踏み切る動きも出ている=佐賀市南佐賀のホームセンターユートク南佐賀店

 米国や中国の住宅需要の高まりを背景に世界的に木材の価格が高騰する「ウッドショック」に伴い、佐賀県内でもホームセンターが木材の値上げに踏み切るなど影響が現れ始めている。住宅の建設業者や家具メーカーは価格への転嫁を先延ばしにしてきたが、「仕入れ値が売値を超えてはどうしようもない」と値上げを検討する動きも出ている。

 「木材需要の増加に伴い価格高騰しております」。県内外に19店舗を展開するホームセンター「ユートク」は6月に入って売り場に張り紙を掲示した。5月末にDIY(日曜大工)など一般向け木材商品などで1、2割の値上げを実施。仕入れを担う祐徳通商(小城市)の織田和晃社長(66)は「原価が売値を超えるすごい状況」と明かす。

 最近では「束売り」と呼ばれるセット商品が売れており、「建築業者が買い求めている」と推し量る。他のホームセンターからも購入の相談があるという。

 住宅を取り扱う建設会社にも影を落とす。「ベイマツ(米松)はほとんど入ってこないし、国産材もこの数カ月で1・5倍ほど上がってしまった」。前田建設(唐津市肥前町)の前田春実社長(59)はこう話す。

 現在着工に向け建築確認手続き中の案件が4件ほどあるが、「すでに契約したものは価格を転嫁できない」(前田社長)。価格差はトータルで400万~500万円に上るという。

 県東部の建設会社は5月から、工事の契約書のほかに、工期が伸びる可能性があることや主要な材料を変更する場合があることを記した合意書を施主との間で取り交わすようにした。

 経営者の男性は「商社から建材が納品されるかどうかも直前にならないと分からない。上棟式のスケジュールも立てられない」と悩ましげだ。合意書には価格への転嫁を記載せずにきたが、「ここまで木材が高騰すると、値上げを社内で検討しないと」と話す。

 影響はすでに施主側にも。県内のある酒店は、倉庫を新たに建てる計画で、夏にも着工するはずだったが秋にずれ込んだという。新型コロナの収束後を見据えた設備投資で店主の男性は「年内に工事を始められたらいいが…」と気をもむ。

 家具業界も対応に苦慮している。諸富家具振興協同組合によると材料費が1~3割ほど上がった。佐賀市内の資材業者は5月末、仕入れ先の大手木材輸入業者から「品薄で12月までの入荷の見込みがない。年内の受注はこれで最後」と伝えられたという。組合の樺島雄大理事長は「資材の備蓄がない業者は別の材料を探すしかない」と懸念する。

 一部の家具大手は7月から製品値上げを決めているが、組合加盟の業者は「販売に影響する」と値上げに踏み出せずにいる。ただ長引けば収益が確保できず、ある業者は「コロナ以上にまいっている」とこぼす。

 県木材協会の山口誠二会長は「木材確保が難しくなって納期が遅れたり、価格の推移が見通せない状況が続けば、公共工事の入札不調なども考えられる」と話す。(大橋諒、中島佑子、志波知佳)

■ウッドショックとは
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務へのシフトが進むなどしたことにより、米国や中国などで郊外の戸建て住宅の需要が高まり、材料となる北米や欧州の木材価格が急騰している現象。米国の木材先物価格はここ1年で約4倍になっており、世界的なコンテナ不足による物流コスト増も重なっている。外材の高騰・品薄で約6~7割を輸入に頼っていた国内の木材需要への影響も大きく、国産材の価格も上昇。住宅や家具など幅広い業界に影響が広がっている。

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