「イチゴの大冒険」(S100号)を贈った平薮さん(右)と、福元学長=佐賀市の西九州大短大部

 佐賀市の洋画家平薮健さん(30)が西九州大短大部に作品を寄贈した。将来の進路に悩んでいるときに大きな賞の候補に残り、自分を後押しした作品シリーズの一つ。「同じように将来を考え悩む学生たちに見てもらいたい」と期待を込める。

 平薮さんはもともと美術は苦手で、中学生の頃の成績は5段階評価の2だったという。佐賀北高を受験し、第2希望の芸術コースに合格したことが転機となった。「周りは美術部のエース級ばかり。がむしゃらに取り組むうちに、デッサン力もついた」。達成感を味わうようになり、佐賀大文化教育学部へ進んで描き続けた。

 コンクールで落選が続き、「挑戦するにも5~6万円必要。奨学金を借りる中、手応えがなく、厳しさだけが募った」と振り返る。3年の時、巨大なイチゴをビル、街のように見立てた「イチゴの大冒険」シリーズが、1500点以上の出品があった「上野の森美術館大賞展」で賞候補に残り、「もうちょっと続けていいのかな」と励みになった。

 今回の作品は、所々に穴が空いた巨大なイチゴ、遠くには佐賀平野や有明海を望む。直接的ではないが、東日本大震災や原発などをイメージした。イチゴのてっぺんの穴には、綿毛になったタンポポが一本。壊れてしまった街への希望だ。

 贈呈式で福元裕二学長は「芸術、文化に触れることは優しい心を育てる。非常にありがたい」と謝辞を述べた。平薮さんは「迷う学生、いろんな人に何か感じてもらいたい」と話した。(福本真理)

このエントリーをはてなブックマークに追加