「妻少し 紅さしてくる 蛍狩り」 近くを流れる多布施川でも、たくさんの蛍が飛び交う季節となりました。

 さて、私の担当回では、脳神経内科やリハビリテーションに関する医療テーマのご質問を募集しています。今回のテーマは、最近新薬でも話題となっている認知症、「もの忘れ」です。

 誰でも年をとってくると「もの忘れ」をします。例えば、友人の名前を思い出せない、1分ぐらいしてからやっと思い出した、などいわゆる「度忘れ」です。

 一方、認知症の「もの忘れ」は単なる「度忘れ」とは異なります。例えば、昨日友達と会って食事をしたことを忘れて思い出せないといった、出来事(エピソード)自体を忘れてしまう「もの忘れ」です。このように出来事を忘れてしまうような「もの忘れ」が頻回にあると日常生活・社会生活に支障が出てきます。

 認知症の原因としては、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、脳血管性認知症などが多いです。また認知症の症状をきたす病気として甲状腺機能低下症や慢性硬膜下血種、正常圧水頭症など、内服治療や脳神経外科での手術で症状が改善するものもあります。大切な点は、原因の病気によって治療法や予防法が異なることです。

 当院でも毎週火曜日の午後に「もの忘れ外来」で診療を行っています。病歴、認知症のテスト、血液検査、脳の萎縮や血管の評価を含めた頭部MRIの検査など行い、診断ののちに適切な治療を検討します。内服だけでなく、生活習慣や介護環境の調整など、ご家族や介護スタッフの方々らとも総合的に対応していきます。

 私自身は、俳句や音楽など芸術活動も通じて、患者さんらと楽しみながら認知症の進行を抑えるよう取り組んでいますが、それについては次回の私の担当回でお話します。

 「もの忘れ」はできるだけ早く発見して、原因になっている病気をつきとめ、適切な方針を立てることが大切です。「もの忘れ」が心配になったら、なるべく早めに脳神経内科を受診ください。(JCHO佐賀中部病院 脳神経内科・リハビリテーション科 部長 南里悠介)

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