保管されている95年前のシードマイヤー製のピアノを見る西山智久委員長(右)と松本成浩校長=有田町の有田小

シードマイヤーのピアノの絵本を朗読して児童に聞かせる柳家三三さん=有田町の有田小

児童に演奏を披露するピアノの川口成彦さん、チェロの横坂源さん=有田町の有田小

有田小で保管されている95年ほど前のシードマイヤー製ピアノ。7月から児童らが触れる機会を設ける=有田町の同校

 佐賀県有田町の有田小学校(松本成浩校長)でかつて使用され、今も校内に保管されている約95年前の貴重なピアノを再び活用する動きが広がっている。今は製造されていないドイツの楽器製造業者シードマイヤー製で、7月からは児童が触れる機会を設ける。輸入されて児童たちに愛されたピアノを紹介する絵本も作られ、16日に同校で朗読が行われた。

 シードマイヤーはドイツのシュツットガルトのメーカーで、ピアノは万博などで高い評価を受けたと伝えられている。町に残る資料などによると、子どもたちに一流の音楽を聴かせたい保護者や住民らの熱意で、アップライト型のピアノが輸入された。当時で家1軒分の価格と伝えられ、1926(大正15)年6月、子どもらが見守る中、上有田駅から馬車で同校に搬入されたという。

 鍵盤が傷むなどして現在は使われていないピアノが、学校の周年事業やドイツとの交流の中で見直されている。

 同校の創立150周年事業実行委員会は、7月9日から週1回、昼休みに児童と保護者に弾く機会を設ける。町内の児童生徒による「10ミニッツコンサート」も予定する。西山智久実行委員長は「ピアノの存在と、一流の教育環境のために奔走した当時の人たちの熱意を子どもたちに伝えたい」と話す。修復を目指してクラウドファンディングで資金を募る準備も進めている。

 2019年に町の姉妹都市のドイツ・マイセン市を訪れた住民らでつくる「有田とドイツと音楽と」実行委員会は、絵本「ドイツから来たピアノ」を制作し、同校に贈った。焱の博記念堂の岩﨑理美事務局長が文を、同町のデザイナー小松大介さんがイラストなどを手掛けた。

 16日には同校で落語家の柳家三三さんが絵本を朗読し、プロの演奏家によるミニ公演も開かれた。6年の八並由樹さんは「学校に伝統あるピアノがあるのは誇り。ピアノについて調べたくなった」とお礼を述べた。(古賀真理子)

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