事前放水を始めた天ケ瀬ダム=多久市南多久町(県提供)

 出水期の流域治水対策の一環として、六角川水系に位置する多久市南多久町の農業用ダム「天ケ瀬ダム」の事前放流が10日、始まった。ダムの水位を約4メートル下げ、約20万トン分を洪水調節用として確保する。関係者は豪雨時の浸水被害の軽減などに役立つと期待している。

 同ダムは、樹園地へのかんがい用ダムとして、1982年に完成した。県営ダムで管理は多久市が行っている。貯水量は約50万トン。県によると、今後、晴天なら10日ほどの放流で計画量に達するという。

 杵島郡大町町などで広範な浸水被害が出た2019年の佐賀豪雨を受けて、国や県、地元自治体などは河川改修などのハード整備に加えて、ため池やクリークなどを活用する「流域治水」に取り組む。

 天ケ瀬ダムなど六角川水系の六つのダムについては、昨年、六角川水系治水協定が自治体や関係機関で結ばれ、合わせて約400万トンが洪水調節用に提供されることになった。

 天ケ瀬ダムは昨年は下流の河川の復旧工事が終わっていなかっため、事前放流するのは今年がはじめてで、多久市が地元への事前説明なども行った。県農地整備課は「豪雨被害の軽減は当たり前だが、ダムの水は農業者にとって貴重な水なので、農業に影響がでないようバランスが必要」と説明。関係者の理解と協力を得ながら慎重に取り組む考えだ。

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