Q.最近いくつかの金融機関で「家族信託」というものの取り扱いが始まっているようですが、具体的に何に役立つのかがわかりません。家族信託とは、どのようなものなのでしょうか。

 A.家族信託とは、将来自分自身の判断能力が低下するなどして財産管理が難しくなった場合に備えて、あらかじめ財産の一部を信託という形で家族に譲渡し管理を委ねるものです。

 信託では、財産を持っている人(委託者)が財産の管理を任せる人(受託者)にいったん財産を譲渡します。受託者は信託財産を自分の財産と区別した上で、利益を受ける人(受益者)のために信託の趣旨に従って信託財産を管理します。

 例えば、賃貸不動産を持っている人が老後の生活費として賃料収入は得たいが、賃貸不動産の管理は家族に任せたいと考えた場合、自分自身を委託者兼受益者とし、家族を受託者として、管理を家族に委ねた上で賃料収入を継続的に受け取るという使い方があります。

 その他の活用例として、子どもに障害があり親の資産を相続しても管理できない場合、他の子どもや信頼できる親族等を受託者として資産の管理を委ね、親が亡くなったあとに障害のある子どもが受益者となる信託を作ることで子どもの生活を守る「親亡き後の信託」も注目されています。

 もっとも、民事信託を利用するにあたっては、委託者の意思が信託に十分反映されるよう信託契約を作成する必要があるほか、税務や登記などの専門的な知識も必要となります。弁護士に相談いただければ、信託契約書の作成のほか、他の専門職との連携をして民事信託の手続きを行うことが可能です。家族信託の利用をお考えの方は、取り扱いのある金融機関にご相談をされた上で、ぜひお近くの弁護士にもご相談を頂ければと思います。

(佐賀市 弁護士 半田望)

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