新型コロナの感染拡大の影響で少子化が18年早まったというニュースが話題になっています。日本では、ほぼ5年ごとに国内の結婚、出産、子育ての現状と課題を調べる全国調査が行われています。夫婦の完全出生数は、第1回調査(1940年)の4.27人から第15回調査(2015年)の1.94人へと大幅に減少し、子ども0人(6.2%)と1人(18.6%)の夫婦が増加しています。理想の子ども数2人以上を実現できない理由として、子育てや教育にお金がかかりすぎる、高齢で産むのは嫌だから、これ以上育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから、健康上の理由から、仕事に差し支えるからなどが挙げられています。新型コロナ流行の「波」は、ますます2人目・3人目の壁を高くするでしょう。

 そのような中で2人目、3人目を妊娠、出産する人をどのように支えるかが重要です。一般に経産婦は経験豊富で自己管理ができ、家族や医療者等からの手助けを望む人は少ないと思われています。そのため指導が省略されたり、手助けを得られないこともあります。本当に経産婦は手助けを必要としないのでしょうか。

 経産婦の現状を説明します。妊娠中の疲労・倦怠(けんたい)感、頻尿、眠気の出現率は初産婦と同程度ですが、イライラ感や骨盤痛は経産婦に多くみられます。上の子どもの体調や育児にも気を付けなければなりません。早産にならないかと心配しながら子どもの抱っこの要求に応えている人も少なくないでしょう。疲労、頭痛、首の痛みや肩こり等の身体症状が産後1年まで続く人もいます。授乳に困っている人は少ないようですが、8割以上が乳房ケアを希望していたという報告もあります。さらに上の子どもの退行現象の対応などの課題もあります。

 「経産婦」だと、ひとくくりにするのではなく、困っていないか、手助けは必要無いか、声をかけてあげてください。子育ての悩みや楽しみを分かち合うことは、誰もが住みやすい街づくりに繋がります。(佐賀大学教育研究院医学域医学系=母性看護・助産学領域=教授 佐藤珠美)一般社団法人ヘルスサポーターズイノベーション https://www.healthsupporters-i.com

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