八戸窯の展示会が開かれた会場=2017年4月、福岡市中央区天神の新天町村岡屋ギャラリー(西岡孝子さん提供)

八戸窯の展示会を案内する新天町村岡屋ギャラリー=2017年4月、福岡市中央区天神(西岡孝子さん提供)

 約半世紀に渡って佐賀・福岡の文化を盛り上げた「新天町村岡屋ギャラリー」(福岡市中央区天神)が5月30日、閉廊した。福岡市中心部で進む再開発事業に伴って来場者が減少し、スタッフの確保も困難になった。コーディネーターを務めてきた喜多村真美さん(65)は「一枚の絵のようにギャラリーが皆さまの記憶にあり続けられたらうれしい」と願う。

 ギャラリーは1972年2月、村岡屋(本社・佐賀市)の新天町店の2階にオープンした。担当者は「採算関係なく、作家の発表の場やふれあいの場としてゆとりある時間を提供できればとの思いで開設したと聞いている」と話す。商店街に立地して鑑賞者が多くて利用申し込みも殺到したといい、「使っていなかった3階の職員寮もギャラリーに改装した」と振り返る。

 近年は再開発促進事業「天神ビッグバン」に伴って周辺の建物の建て替えなどが進み、客足が年々減少していた。喜多村さんの体調面も考慮し、同社は昨秋にギャラリーの閉廊と新天町店の閉店を決めたという。

 駆け出しの頃からグループ展や個展で利用してきた有田町の陶芸家庄村久喜さん(46)は「ギャラリーは僕の原点。観覧者との接し方などもコーディネーターから学んだ。ここでやっていたからこそ多くの出会いにつながり、今の僕がある」と話す。ギャラリーの関係者とは今でも交流が続いている。

 練り上げの器を手掛ける八戸窯(佐賀市)の西岡孝子さん(55)は、8年ほど前から定期的にギャラリーで展示会を開いてきた。喜多村さんからの手紙で閉廊を知ったといい「残念。貴重な発表の場であり、出会いも多かった。ここでつながった縁はこれからも大切にしていきたい」と話した。(志波知佳)

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