鉄道遺構「高輪築堤」を視察する菅首相(手前)=29日午前、東京都港区(代表撮影)

 菅義偉首相は29日、1872年に日本で初めて鉄道を開業する際に造られ、東京都港区の高輪ゲートウェイ駅周辺で出土した鉄道遺構「高輪築堤(たかなわちくてい」の国史跡指定に向けて取り組む方針を示した。遺構視察後、記者団から史跡指定する必要性を問われ「まさに文化遺産であり、すばらしい。文部科学省でしっかり取り組んでほしい」と答えた。

 同時に「当時の技術屋は素晴らしい能力を持っていた。感動した。次の世代に引き継ぐことが大事だ」と語った。

 専門家らが全面保存を求める中、再開発を進めるJR東日本が一部保存の方針を示していることについては「港区や東京都、政府も連携しながら、街づくりを進めていかなければいけない」と述べるにとどめた。

 東京都に新型コロナウイルス緊急事態宣言が発令中の視察になったことに関し「近いうちにいったん埋め戻されてしまうということで今日になった」と話した。

 視察では、JR東日本の深沢祐二社長や武井雅昭港区長の説明を受けながら、線路の下に船を通す水路があったことを示す「第七橋梁(きょうりょう)」などを見て回った。萩生田光一文科相も同行した。

 JR東日本などによると、高輪築堤は1870年着工。海面を埋め立てて線路を敷設するため、現在の田町駅付近から品川駅付近の2・7キロの間に造られた。当時の土木技術を調べる上で貴重な遺構とされる。

 高輪築堤は、鉄道の用地取得が難航した際、佐賀出身で後に総理大臣を2度務めた大隈重信(1838―1922年)が「陸蒸気(おかじょうき)を海に通せ」と命じ、整備が進んだとされる。

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