名札を外して登校する小学生。県警からの要請もあり、4月から実施する学校もある

 通学路の安全確保を目的に、佐賀県内の教育現場では、登下校時に子どもたちの名前札を外す方向で運用を見直す動きが進んでいる。着用する生徒たち自身が賛否を考える取り組みが、県内の四つの中学校であった。防犯につながるという賛成意見や、事故や災害時に役立つため外すべきではないといった声、着脱式にすることで生じる紛失の心配など「当事者」たちのさまざまな意見が出た。

 佐賀市の城西中3年、成章中1年、唐津市の鏡中3年、湊中1年の4校がNIE(教育に新聞を)の一環で取り組み、出し合った意見を佐賀新聞社に寄せた。教材としてウェブサイト「佐賀新聞LiVE」で提供しているNIE用ワークシートを用い、佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)で4月11日に報じた記事にも目を通した上で考えた。

 賛否の割合は、いずれの学校でも名前札を「外す」が多く、理由としては防犯を最優先とする意見が目立った。体験に基づき「知らない人に名前を呼ばれたことがあり不安」という声もあった。

 一方の反対意見では、事故などの緊急時に対応できるかどうかを心配する声などが上がった。脱着式にした場合について「落とすと、それで個人情報が漏れる」と答えた。

 佐賀県警は3月末、防犯のため登下校中は外すなどの対応を県教委に要請した。「こちさが」で意見を募ったところ、賛成が多かった一方で、地域の人にも名前を覚えてもらえるメリットを指摘する意見や地域ぐるみの議論を求める声もあった。県内20市町教委に対する佐賀新聞の聞き取りでは、見直しを決めたのは4月20日時点で小学生が17市町だった。中学生は7市町が「検討中」としていた。(志垣直哉)

 

■自ら考え「納得解」必要 多久島文樹・NIE推進担当デスク

 

 新聞記事から情報を取り出して、その情報を基に自分なりに考え、友だちや家族と話し合って、さらに学びを深めていくことは、子どもたちの「生きる力」(新学習指導要領)を育む上で必要だ。

 「危険回避のために、名前札を学校外では外すことに関する賛否」という問いを捉えきれていない意見も一部でみられるが、社会の出来事を自分たちとの関係において捉えることは大切になる。取り組んだ先生の中には「今後も、このような社会課題を取り上げていきたい」という意見もあった。

 名前札を着用するのは児童生徒。「学校外では外す」とする理由に加え、事故など懸念されている事態への対応まで教えるべきだろう。ほかの校則なども同様だが、ただ「守りなさい」と一方的に伝えるのではなく、その理由を生徒自身に考えさせて理解を深め、子どもたちに自分なりの「納得解」を獲得させる必要がある。

 通学路の安全を巡り、大人は、できるだけ子どもが一人で登下校することがないようにし、危険箇所の点検・対策なども併せて考えたい。生徒からも指摘が出ていたが、体操服を着たまま下校することの是非のほか、帽子やバッグなどの持ち物の記名についても検討していくべきだろう。

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