全国学力テストに臨む生徒たち=佐賀市内の中学校

 小学6年と中学3年の全員を対象にした文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が27日、一斉に行われた。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大で中止となり、2年ぶりの実施。国語と算数・数学の2教科で、小6では新しい学習指導要領に基づいた新領域からの出題があった。コロナ禍の学習への影響も調べる。佐賀県内では市町立の小中学校や県立学校、特別支援学校の計251校の約1万5千人がテストを受けた。結果公表は8月下旬の予定。

 参加は国公立の全校と私立46.7%の計約2万9千校で、小6が約105万4千人、中3が約102万8千人。当日の実施が困難な場合は6月末まで延期できる特例措置を設けているが、平均正答率などの集計からは除外する。

 小6算数では、昨年度から全面実施された新指導要領を踏まえ、データ読解の能力を測った。図書室での学年別貸出冊数のグラフを示し、あまり本を借りない理由を尋ねるアンケート結果も組み合わせて分析を深めた。

 中3国語は初めて電子メールを題材に使用。自分の意図を効果的に伝える文章をどのように作成するかが課題となった。

 女性活躍やコロナ禍の生活様式といった現代的テーマも盛り込まれ、テレビ会議で議論する場面などが取り上げられた。

 児童生徒へのアンケートでは、休校中に「勉強に不安を感じたか」「計画的に学習を続けられたか」などを尋ねる項目を設けた。学校側にはオンライン学習の実施など情報通信技術(ICT)を活用していたかどうかを中心に質問。文科省は、成績と組み合わせて分析することで、新型コロナの影響を浮かび上がらせたい考えだ。

 全国学力テストは2007年度に始まり、今回で13回目。昨春の一斉休校による学習遅れに対応するため、例年の4月から繰り下げた。(共同)

学力向上実践、一方で疑問も

 2年ぶりに佐賀県内でも実施された全国学力テスト。学校現場では学力向上に向けた実践が進む一方、結果を重視するあまり、事前に過去問に取り組むケースがあり、テストそのものを疑問視する声もある。

 学校現場は昨春、新型コロナウイルスの影響で一斉休校を強いられ、児童生徒の学習機会の確保や、授業の遅れの解消に迫られた経緯がある。県教委は2年ぶりの学力テストの意義について「義務教育の機会均等の観点から、児童生徒一人一人の状況をしっかり把握していきたい」と話す。

 県内のあるベテラン教諭は、全国学力テストのあり方に疑問を投げ掛ける。「全国や県の平均で比較したり、順位付けをしたりすると、学校は躍起になって対策することになる」。過去問を使った対策をするケースも耳にするといい、「テストが無駄とは言わないが、現場は振り回されている」と受け止めている。

 別の教諭も「授業をカットして対策をしたこともあった。結果は保護者に公表されることにもなる。準備を含めると、担任の負担は大きい」と懐疑的だ。

 県教委は学力向上の取り組みとして、教員の指導力向上に向けた「学力向上推進教員」を配置している。さらに例年?月に実施する県独自調査に合わせ、各校が目標設定などをする「学力向上対策評価シート」を活用し、課題や傾向を分析している。県教委は「調査前に過去問をするといったケースは、本来の調査の趣旨とは異なる」と強調する。

 現場では過度の競争を危惧する声もある。県内のある女性教諭は「1位があれば最下位も出てくる。結果に一喜一憂せず、もっと学力の到達度をみるべき」と指摘した。(岩本大志)

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