コメディアンの萩本欽一さんが『ダメなときほど「言葉」を磨こう』に、永六輔さんのラジオ番組に出演した時の思い出を書いている。それが2人の最初の出会いで、永さんはこう切り出した◆「年を重ねるとたくさん知り合いができて友だちができたりするけど、もう友だちも知り合いもいらないね。付き合う時間もないし」と。確かに人付き合いは楽しい半面、煩わしくもあり、ことさら出会いを求めなくても過ごしていける。だが、それも何人かの友人がいてこそだろう◆日本、米国、ドイツ、スウェーデンの高齢者(60歳以上)を対象にした内閣府の国際比較調査で、日本は31・3%が「親しい友人がいない」と答えたという小さな記事が気になった。米国は14・2%、ドイツは13・5%、スウェーデンは9・9%だった◆社会に出ると学生時代の友人とは離れ、仕事での付き合いが中心になる。退職すれば、その人たちとも疎遠になる。かといって隣近所に友人といえる人はいない。わが身に照らすと、数年後には孤独な高齢者になりそうな予感がする◆永さんは言葉を続けた。「でもね、その中でも知り合いたい、友だちになりたいっていうのが出てくるんだよ。欽ちゃん、よく来たね」。友人を大切にして、新しい出会いにも前向きに生きなきゃね。永さんからの励ましに聞こえる。(知)

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