「支援カフェ ねこのきもち」。ボランティアが店番や運営を手伝う=武雄市武雄町

 佐賀県内の保健福祉事務所に2020年度に収容され、致死処分(殺処分を含む)された犬は30匹、猫は164匹で、過去10年間で最も少なかった。動物愛護法の改正で施設での引き取りが減り、譲渡や飼い主に返還される割合が上がったことが要因とされる。

 コロナ禍で在宅時間が増え、ペットの需要が高まっているが、ペットを飼うには相当の責任が伴うことを忘れてはならない。幼いうちはかわいいが、成長して老いた後、介護が必要な場合もある。最期まで面倒をみる覚悟がなければペットを飼う資格はない。小さな命を取り巻く問題を認識し、共生できる社会を目指したい。

 県生活衛生課によると、20年度に保護や引き取りで収容された犬は前年度比54匹減の230匹で、3年連続で減少。うち致死処分は34匹減の30匹で2年ぶりに減少した。猫の収容は2年ぶりに減り、169匹減の271匹。致死処分も2年ぶりに減って143匹減の164匹だった。猫の致死処分が多いのは、収容する多くが生後間もない子猫で、3時間おきの授乳や排便補助に手が回らないため死に至っている。県生活衛生課は「法改正で所有者不明の犬や猫の引き取りを拒否できるようになったことで収容数はかなり減った。譲渡、返還の数は変わらず、その結果、致死処分が減った」と説明する。

 犬猫の「殺処分ゼロ」を掲げる自治体が増えてきたが、実際に達成したのは福岡市だ。15年度から犬猫の殺処分を減らす取り組みを始め、19、20年度と病気や事故などやむを得ない場合を除き“殺処分実質ゼロ”を達成した。収容された授乳期の子犬や子猫をボランティアが一時預かる「ミルクボランティア制度」を導入。研修を受けたボランティアが授乳、排便補助、スキンシップを通じ人に慣れさせる。固形フードを自力で食べられるようになる2カ月をめどに動物病院が引き取り、譲渡を仲介する。官民が連携し、小さな命を守る努力が実を結んだ格好だ。

 佐賀県は15年、武雄市に犬猫譲渡センターを開設。コロナ禍で来館者数は減ったが、それまでは年間約2千人が訪れていた。18年度からは避妊・去勢した猫を地域で適切に管理する「地域猫活動」に取り組んでいる。正しい飼い方の周知や、不幸な猫を増やさない活動を地域住民にさらに浸透させてほしい。県内には野良猫を守る「猫カフェ」や、避妊・去勢手術を支援する動物保護団体、保護活動と事業を融合させる企業も出てきた。こうした団体・企業への支援も必要ではないだろうか。

 人間の都合で殺処分など悲しい結末を迎える犬猫を増やさないためにも、小さな命と共生できる環境づくりを官民問わずに進めなければならない。(澤登滋)

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