吉野ケ里を走る聖火

 令和3(2021)年5月10日、吉野ケ里歴史公園を聖火が走りました。昭和39(1964)年の東京オリンピックの聖火は、吉野ケ里歴史公園のすぐ南側の国道34号線を走りましたが、その時には、教科書に載るほどの遺跡が近くに眠っているとは誰も思わなかったことでしょう。吉野ケ里の集落の中を走る聖火を見て、より吉野ケ里遺跡が全国とつながったような気がしました。

 ギリシャ神話では、プロメテウスが人間のためにゼウスから火を奪い、人間に渡します。古事記では、イザナミノミコトが日本の島々をうんだ後、八百万やおよろずの神々をうみ、そして最後に火の神であるカグツチをうみました。人間は火を使って古いにしえより命をつないできました。そして、その火は未来へと続いていくはずです。

 もし、吉野ケ里を走る聖火を見たら弥生人たちはその火をどう感じるでしょう。私は、体や心を暖めてくれる優しい存在に感じるのではないかと思います。それは、竪穴住居の中の炉の炎をイメージするのではないかと思うからです。その炎の周りには家族の声があふれていたはずです。その炎の暖かさは、これからも決して忘れてはいけない暖かさなのだと思います。(福田幸夫 吉野ケ里ガイド)

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