脳出血による左半身麻痺(まひ)を克服しようと、佐賀市の佐賀県医療センター好生館から小城市内の病院に転院してリハビリを続けていた「私」はある日、スマホで検索し、脳卒中に限らず、リハビリ患者の入院期間に上限があることを知った。脳卒中は回復期病棟に移ってから「150日」(高次脳機能障害がある場合は180日)と定められている。転院の際に説明を受けていたかもしれないが、覚えていなかった。

 脳血管疾患による麻痺の場合、リハビリによる回復具合は半年が一つのめどといわれる。半年を過ぎると、それ以上はなかなかよくならない、といわれる。だから入院期限が設けられたのだろう。このルールを知ったのは転院して3カ月が過ぎた2015年7月上旬のこと。期限が150日とすれば、あと2カ月ほどで退院できるかもしれない。この時はうれしく思った。

 8月20日に担当医、看護師、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)、ST(言語聴覚士)による話し合いがあり、9月16日が退院日と告げられた。

 私の気持ちは複雑だった。家に戻りたいが、家族に迷惑を掛けるのが目に見えていた。リハビリをもう少し頑張れば、もっと歩行が安定すると思えた。

 自宅は2011年に改築した際、バリアフリーにしていた。しかし、ナースコール一つで来てくれる病院とは違う。もう少し自信をつけたかった。退院後の生活を思い浮かべた時、「うまくやっていけるだろうか」という不安は、私よりもむしろ、妻の方が大きかったと思う。妻は働いていて、日中、家にいるわけではない。老齢の両親は元気だったが、介助するノウハウは持っていない。私自身も親に負担をかけたくはなかった。

 「入院期限」にも例外はあり、医師が「リハビリの回復が顕著に期待できる」と判断すれば、最長30日間、入院を延長できる。

 「30日間の延長は駄目ですか」と聞いたが、認めてもらえなかった。「家庭で自立した生活を目指した方がいい」という判断だったのだろう。とはいえ、何となく病院から見捨てられたような感じも受けた。脳卒中で倒れた時は、リハビリ入院に期限があることを踏まえ、150日後からどうするかを早めに考えておいた方がよいと思う。

 私は結局、この年大型連休になっていた「シルバーウイーク」に合わせての退院をお願いし、退院日は当初予定より1週間遅れの9月23日に決まった。(佐賀新聞社・論説委員)

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