4冊目となる著書「芦刈水物語」を出版した岡本澄雄さん=小城市芦刈町

水に関する町の歴史や風景の移り変わりをまとめた「芦刈水物語」

 小城郷土史研究会の岡本澄雄さん(71)=小城市芦刈町=が著書「芦刈水物語」を出版した。暮らしに密接な水にまつわる町の歴史や、生活環境の変化に伴う風景の移り変わりを、写真や絵を添えて解説している。

 堀、水田、井戸など約40のテーマ別に記録や考察をまとめた。経済の発展と自然環境の保全の両立の難しさに触れ、「これから先、水とどう付き合っていくか改めて考えたい」と発刊の理由を記している。

 昭和30年代ごろまでは全ての家庭に風呂はなく、芦刈町にも堀端に男女混浴の「もやー(もやい)風呂」(共同風呂)があった。著書では「簡素な板張りの風呂小屋で、当番の家の子どもは学校から帰ると川の水をくみ、年長の者から順次、湯に浸かった」と幼少期の記憶をたどる。

 明治時代の書家・中林梧竹が晩年、直線で約3キロ離れた自宅から町の湯屋を訪れていた様子も記載。住民に頼まれて書いた梧竹の作品が町内に多く残されていると伝える。

 水田に関する記述では、保水能力に着目した。「雨水を上手にため、ゆっくりと放水する治水ダムに似た働きがある」「土砂の流出を防ぎ、肥沃(ひよく)な土地を守っている」と記した。道路整備などでコンクリートのふたが小川を覆う状況に、「三尺下は真水と言われた時代は過去のものとなり、メダカやドンコはどこに行ったのだろうか」とも問い掛けている。(谷口大輔)

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 A4判94ページ。2部構成で、2007年1月まで2年間、生活情報誌で連載した「佐賀を駆け抜けた風」も収載。1部2千円で販売している。問い合わせは岡本さん、電話090(5293)3301。

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