庭に目を落とすとマーガレットがほほ笑んでいる

 オオデマリの白い花が緑の土手に散り始める頃、雑木林は白い天井のようにエゴノキの花々で覆われて、その香りが梅雨を香水にしてくれる。

 先日、ペットのように飼っていた鶏のプクちゃんがキツネにやられてしまった。生前のプクは私たちを見掛けるとダチョウのような猛ダッシュで駆け寄ってきて足元をつついた。年を取っていたが、用意した段ボール箱に卵を生むこともあった。東京にいる娘も悲しそうだった。いつもはお肉もいただいている鶏だが、プクは家族で土葬した。心にはぽっかりと穴があき、皆でそれを感じ合っていた。

 プクは縁あって、鶏舎にいる他の鶏たちとは異なり、私たちと近しい時間を共有した。それでもやはりものごとはすべからく変わっていく。いや私たち自身も昨日の私ではないし、さっきまでの自分ではないのだろう。ただ残るのはその時の温かな心だけだ。だとしたら、心の持ちようを日々穏やかにしていくことこそ人生は彩りよく薫ってくれるものかもしれない。(養鶏農家・カフェ店主 小野寺睦)

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