雨が落ちてきそうな空の下、麦刈りを急ぐ農家=17日、小城市芦刈町(撮影・山口源貴)

 気象台の1951年の統計開始以降、2番目に早い梅雨入りとなった佐賀県内。昨年よりも27日も早い雨期の到来に、麦の収穫を控える農家からは穂発芽などの作物障害への懸念の声が漏れる。自治体の防災部門の担当者は、避難所設置時の対応手順の確認など準備作業の前倒しを決めるなど対応に追われている。

 佐賀平野は、麦収穫の最盛期を迎える。杵島郡白石町で麦を11ヘクタール栽培する男性農家(63)は「一番の心配は、小麦の穂発芽」と話す。麦は刈り取り前の成熟期に雨が続くと発芽し、出荷できない状態になる。県内でも2011年、13年に大きな被害が出た。

 男性は例年より早い25日からの収穫を予定していたといい、想定外に早い梅雨入りに「少しでも晴れ間が出て麦が乾き、刈ることができればいいけど」と気をもむ。「このまま降り続くと、稲の田起こしもできない。困ることばかり」と恨めしげに雨雲を見つめた。

 JA佐賀中央会によると、現在、刈り取りが進むのは大麦だが「大麦の収穫が遅れると、次の小麦との間隔が詰まり、カントリーなどでの乾燥調整作業が大変になる」と懸念する。

 災害対応の準備を加速させる自治体も。佐賀市は梅雨入りを例年通りと想定し、新型コロナに対応した備蓄品の配置や、避難所の混雑状況をスマートフォンなどで確認できる新たなシステムの研修を進めていた。15日の県内梅雨入りを受けて、市危機管理防災課では17日朝、全ての準備を早めるよう確認した。

 避難所の開設や混雑状況を知らせ、市民の分散避難につなげる新システムに関する庁内研修は、新型コロナ感染拡大の影響を受け、小グループでの実施に変更。「各課の代表に伝えた段階」(同課)で、タブレット端末に触り、慣れていく作業に差し掛かったところだった。

 「梅雨入りと同時に、大雨が降っている地域もある。安全を確保できる場所を再度確認して」と市の担当者。準備の手を早めつつ、市民に注意を呼び掛ける。

 梅雨入りが平年より約3週間早まったことについて、佐賀地方気象台は「太平洋高気圧の勢力が強く、前線が押し上げられる時期が早くなった」と説明する。

 5月~7月の3カ月予報では、降水量はほぼ平年並みで、6月の降水量が平年並みか多くなるとみている。平年で7月19日ごろという梅雨明けの見通しについては「現段階では分からない」としている。(宮里光、川﨑久美子、松岡蒼大)

このエントリーをはてなブックマークに追加