昭和28(1953)年の陶器市の風景(大樽付近)

 ゴールデンウイーク恒例の有田陶器市が、今年も中止となった。2年連続である。昨年は早々に延期が決まったものの、今年はいったんは開催が決まり、着々と準備が進む中での突然の中止である。売る側も買う側も、期待していただけに本当に残念であった。来年のことは見通せないが、何とか開催できるようになればと願う。

 ところで、次回の開催にあたっては、ちょっと知恵を絞らないといけないことがある。第何回とするかである。昨年の第117回が中止となり今年も中止、順送りなら、必然的に次回も117回ということになる。ところが、困ったことに、それでは陶器市の回数のよりどころが失われるのである。

 陶器市の回数は、実際には陶器市自体の回数ではなく、現在の有田国際陶磁展の前身である明治29(1896)年にはじまった陶磁器品評会をよりどころとしている。現在では、陶器市の関連行事としての国際陶磁展のように錯覚される方も多いが、実は、逆に大正4(1915)年にこの品評会に併せる形で、今も続く陶祖祭とともに、「蔵さらえ」が計画されたのである。陶器市の名称になったのは大正末期のことで、この頃には、品評会よりも陶器市の方がメインの行事となっている。

 昨年は、国際陶磁展も中止となったため問題とならなかったが、今年は第117回の国際陶磁展は開催された。つまり、このままでは陶器市との回数がずれてしまうのである。落とし所をどうするのか、ここは思案のしどころである。

(有田町歴史民俗資料館長・村上伸之)

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