ゲノムの集団解析に使ったアゲマキの貝殻

佐賀大学農学部の折田亮助教

 佐賀大農学部の折田亮助教(33)=海洋生態学=らの研究グループが、有明海の佐賀県沿岸に生息する二枚貝のアゲマキを調べ、遺伝的に異なる二つの集団がいることを明らかにした。アゲマキは生息数が減っており、遺伝的な多様性を考慮した資源回復への取り組みが期待される。

 県有明水産振興センターが2019年に佐賀市と鹿島市、藤津郡太良町の沿岸11カ所で探し、7カ所で採取した30個についてゲノム(全遺伝情報)解析の新しい手法を用いて調べた。主成分や系統など多角的に解析し、いずれの調査も二つの集団に大別されることが分かった。

 折田助教は「見た目の違いは分からないが、二つの集団は遺伝的に交流が乏しかったと言える」と話す。

 同センターなどによると、アゲマキは1990年代前半に漁獲がほぼなくなり、96年以降、種苗生産や放流を続けている。18年に鹿島市地先で久々に漁が解禁されたが、19年以降は再び禁漁になっている。

 折田助教は「例えば塩分や水温への耐性が違うなど、集団間で特性が異なるかもしれない。2集団を意識することで、これまでと違う発想の資源管理ができてくる」と語る。今後は同センターと共同で、2集団を簡易に判別できる検査方法を開発する予定。

 研究は、地域の農業や水産業の課題解決・発展を図るため、17年度から佐賀大が取り組む「地域の農水圏生物生産・利用技術等の高度化プロジェクト」の一つ。論文が英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。(宮﨑勝)

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