聖火リレーについて調べていたら、1964年の東京五輪では米国統治下にあった沖縄からスタートしたと知った。「沖縄の自治は神話だ」と言われた時代に、多くの人が日の丸を振って聖火を見守ったという◆翌年8月、当時の佐藤栄作首相が初めて沖縄を訪れた。「私は沖縄の祖国復帰が実現しない限り、わが国にとって『戦後』が終わっていないことをよく承知しております」。那覇空港で読み上げた声明の一部である。「戦後は終わっていない」は語り継がれるキーワードになった◆きょう15日は沖縄本土復帰記念日で、72年の復帰から49年になる。戦時下も、戦後も厳しい状況に置かれた沖縄の歴史はよく知らず、『沖縄をめぐる言葉たち』(河原仁志著)を読んで初めて知ることが多かった◆返還交渉の中で焦点の一つになったのが「本土並み」。復帰が実現すれば社会保障や教育などの諸制度は当然として、米軍基地も縮小されると沖縄の人々は期待したが、佐藤首相は本土並みの解釈を濁し続けたという◆国土面積の約0・6%の沖縄県には現在、在日米軍専用施設の約70%が集中している。普天間飛行場の移設工事が進む名護市辺野古。工事が始まる前、小船から見た澄んだ海を思い出す。「沖縄に寄り添う」と口にはしても、沖縄の人たちとの間合いは縮まっているだろうか。(知)

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