新型コロナウイルスの対策本部会議で、佐賀県内の死亡者の年代別内訳などを示した山口祥義知事(右)=14日午後、県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、佐賀県内の専用病床の使用率が14日、過去最高の49.9%になった。県によると、重症化や死亡するケースは限られ、感染者への医療提供態勢は維持できている。ただ、感染力が強いとされる変異株への置き換わりが進み、先行きは見通せない。

 「同僚からは『体力も気力も限界』という声を聞く」。新型コロナの患者を受け入れている県中部の医療機関に勤める40代看護師はこう話す。医療機関で関係者の感染が確認されてからは、コロナ病棟の担当ではない職員も防護服を着て業務に当たり、別の病院からの応援も受けている。

 県内では3月下旬以降、変異株の広がりに伴って感染が再拡大し「第4波」の様相を呈している。専用病床は12の医療機関が計365床を確保しているが、14日午後6時現在の使用率は49.9%で「ステージ4」(爆発的感染拡大)の50%以上に迫っている。地域別では、県中部と県東部で満床のところが出ている。軽症・無症状者が療養するホテルの使用率も過去最高の59.6%になった。

 変異株は、従来株より重症化リスクが高い恐れがある。県内の療養者に占める中等症以上の割合は4月1日時点で12.5%だったが、4月末ごろからは30%前後で推移している。県職員と医師の混成組織「プロジェクトM」の日野稔邦事務局長は「第3波のときよりも中等症の患者が多い。医療現場は疲弊し、ぎりぎりの状況と認識している。何とかここで抑え込まないといけない」と強調する。

 大阪府や福岡県などでは病床が逼迫(ひっぱく)し、感染者が自宅待機を強いられるケースがあるが、佐賀県内ではこうした状況は起きていない。陽性者に占める死亡者の割合「死亡率」は全国で3番目に低い0.72%(12日現在)。14日現在の重症者は4人で、48床ある重症者用病床の使用率は8.3%にとどまっている。日野事務局長は感染者の早期発見や症状に応じた入院・転院の調整が機能し、適切な医療提供ができていると受け止めつつ「病床が逼迫して調整が困難になれば、重症化率と死亡率の悪化につながる」とみている。

 山口祥義知事は14日の対策本部会議で、医療全体への影響を懸念し「日常の救急態勢、通常医療を守ることに全力を尽くしていく」と述べ、感染予防策の徹底を県民に呼び掛けた。(円田浩二)

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