佐賀県内では今年、5市町で議員の改選期を迎え、これまでに唐津市議選と杵島郡白石町議選が実施された。両市町とも前回から議員定数が減って激戦となったが、投票率は伸び悩んだ。住民にとって市町村議は最も身近な存在だが、投票率の低下に加え、近年は「議員のなり手不足」という課題も深刻化している。議員という仕事はそれほど魅力がないのだろうか。地方自治の在り方、議員の役割を改めて考える必要がある。

 「地方自治は民主主義の学校」といわれる。住民一人一人が能動的に関与し、住民の意思に基づいて自治事務を行うという理想の形が実現しやすいからだろう。

 その中心に位置するのは首長と議会。だが、全国的な傾向と同様に、佐賀県内の市町でも「議員定数削減」が進む。1月に議員選挙が行われた唐津市と白石町は、ともに前回選挙から定数2減となった。

 元佐賀県議の佐野辰夫氏(佐賀市)が地方自治制度の改革を提言する本を自費出版し、興味深く読んだ。その中で佐野氏は「地方議員の存在が盲腸のように思える」と記す。極端な表現だが、「議員不要論」と通底する。理由の一つは「議員の働きが見えない」からだろう。予算や政策の提案権を持つ首長に対し、議会に予算などの提案権はなく、「実績」がつくりにくい。

 佐野氏は打開策として、議員に「政策を決定する権限を与えるべき」とし、具体的には「副市長などの三役や部長は国の議員内閣制に準じ、議員から選ぶべき」と提言する。その上で「地域の課題を議員と住民が話し合う場をつくり、本来の意味の自治会をつくるべき」という。

 一理あるが、仮に議員の権限が強まった時、誰が歯止めをかけるのだろうか。国会ではどろどろした権力闘争が繰り広げられ、時に民意と離れた政策が「数の論理」で押し通されることもある。その歴史を思えば、「二元代表制」も悪い面ばかりではないと感じる。

 議会の最大の権限は「議決権」。税金の使い道を決めるのは首長だが、議会の議決がなければ執行できない。議会の役割の一つは首長の施策に無駄や不公平がないかを「監視」することだろう。

 強すぎる権力は腐敗を招きやすいといわれる。だからこそ、議会は野党的な立場で首長をけん制する必要がある。全てに「対立せよ」というわけではない。普段は友好的でも、議会では緊張感を持って議論を戦わせるべきだと思う。

 有権者もこうした議会の役割を理解すべきだろう。議員は「御用聞き」ではないし、選挙で応援したからといって、自分に利がある施策が必ず実現するわけでもない。

 もちろん、佐野氏が主張するように、議員の政策提言に実現性が増すような制度改革を地方から進めていきたいし、議員報酬や選挙制度も含め、長期的な視点で「なり手不足の解消策」を検討する必要もあるだろう。

 一方で、地方議員の武器は住民との距離が近く、小さな声にも耳を傾けやすいこと。有権者が期待するのは、小さな声も論戦の場に届ける議員だと思う。結果的に「原案通り可決」だったとしても、その過程に有権者が注目する議会であってほしい。(中島義彦)

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