国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門を開けるよう命じた確定判決を巡る訴訟の差し戻し控訴審で、福岡高裁が漁業者側と国に和解協議を提案したことに関し、野上浩太郎農相は12日の衆院農林水産委員会で「開門することは実現困難」と述べ、開門せず基金による和解を探る姿勢を改めて示した。

 共産党の田村貴昭議員(比例九州)が質問した。野上氏は「裁判所が非公開の場である進行協議期日を設定したという趣旨に鑑み、答えは差し控える」と述べ、高裁の提案に対する具体的な対応について言及しなかった。その上で「開門をすることは現実にも実現困難であり、多くの深刻な問題を引き起こす。引き続き平成29年の大臣談話に沿う出口を探っていきたい」と語った。

 牧元幸司農村振興局長は「平成29年の大臣談話は、開門によらない基金による和解が最良の方策という考えのもと、開門しない方針を明確にして臨むもの。この考え方に沿った和解協議には当然、応じることになる」と語った。

 田村氏は、高裁が国と漁業者の両者に譲歩を求めていることを指摘し「かたくなで不誠実な態度と言わざるを得ない」と国の姿勢を批判した。(山口貴由)

このエントリーをはてなブックマークに追加