聖火リレーに訪れた人々へマスク着用を呼びかけるプラカードを持つスタッフ=9日午前10時25分、鹿島市の祐徳稲荷神社前(撮影・山田宏一郎)

 佐賀県内を巡る東京五輪の聖火リレーは9、10の両日、ランナー178人が聖火をつなぎ終了した。新型コロナウイルスの影響により全国各地で実施形態の変更を強いられる中、感染対策を徹底して当初の予定通りに全20市町(18区間)を巡回。組織委員会や市町ととともに運営を担った県スポーツ課は「みんなで協力してつくり上げ、県民の“財産”になった」と語る。

 県内の新型コロナ感染者数は直前の7日に59人、翌8日に75人と2日連続で過去最多を更新。県は沿道などの密集を回避するため、インターネットのライブ中継の視聴を繰り返し呼び掛けた。担当者は「ランナーもそうだったと思うが、悩みながら進める苦しさがあった」と胸の内を明かす。

 吉野ケ里歴史公園(神埼市郡)では、復元建造物が並ぶエリアを警戒して人員を多く配置。沿道の両側が2列以上になる場合は、入場制限をかけるなど独自の対策を講じた。来場者が想定の半分以下にとどまったこともあり、関係者は「観客同士の距離もとれて問題はなかった」と話す。

 一方、一部の区間では、トーチキスを写真に収めようと中継地点に観覧者が集中。ランナーをより近くで見たいと、走路に身を乗り出すなどして一時的に混雑する場面も見られた。

 県は、人と人の肩がぶつかり合う混み具合の場合はリレーをいったん中断し、密集した区間を省いて走る対応も想定していたが、結果として2日間の全行程でリレーが中断するケースはなかった。

 九州では、沖縄本島や熊本市が公道でのリレーを中止。隣県の福岡県は11~12日に20市町村を回る計画だったが、緊急事態宣言の発令に伴い、こちらも公道での実施は取りやめた。

 山口祥義知事は「コロナ禍ではあったが、聖火リレーをしたことで、前に進まなければいけないという思いを共有できた」と振り返った。(岩本大志、草野杏実、西浦福紗)

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