「障害があっても自分らしく生きられる姿を見せたい」。佐賀県上峰町で聖火ランナーを務めた県難病相談支援センター職員の山本千恵子さん(57)は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う。沿道に手を振り、介助者の力も借りながら、トーチを固定した車椅子を力強くこいで進んだ。

 元々看護師として働いていた山本さん。体に異変を感じたのは1992年5月ごろから。持病の手術をした後、座っても姿勢を保てず倒れてしまうほど筋力が衰えた。医師からALSと伝えられたときは「何で自分が難病に」と悩んだ。

 自暴自棄になった山本さんを救ったのは、障害のある女性との出会いだった。脊髄を損傷しても、片手でアクセルやブレーキを操作する専用の器具を使い車で出掛ける。彼女を見て「誰かにお願いしないと何もできないと思っていたが、まだ自分で動ける」と前向きに考えるようになった。

 同センターの相談員となった山本さんは、難病を患う人たちの就労支援や交流の輪を広げることに取り組んできた。「自分を支えてくれた人たちに感謝し、病気を患う人たちに勇気を届けたい」との思いを胸に聖火を運んだ。

 山本さんはリレー後、「とても楽しかった」と満面の笑み。「苦しんでいる人が一歩前に進むきっかけになればうれしい」と力を込めた。(共同)

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