聖火リレーの隊列が通る中、県の時短要請に従い午後8時前に店ののれんをはずす「蛇の目鮨」の川﨑正雄さん=10日午後7時58分、佐賀市駅南本町(撮影・山口源貴)

 急速な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、佐賀県が飲食店に要請した時短営業が10日、県内全域で始まった。期間は23日までの2週間。多くの店舗が午後8時までに店じまいし、繁華街から明かりが消えた。昨年から三度にわたる要請に、店から漏れる「もうこれで終わりにしてほしい」の言葉に実感がこもる。

 唐津市呼子町でレストランなどを経営する林康紀さん(48)は、午後9時閉店だったレストランを午後8時に閉め、午後6~11時に営業していたバルは休業した。「前回の要請の時は通知の文書が来たけど、今回はなかった。本当に今日から始まるのかな」と半信半疑でこの日を迎えた。

 要請に応じた店舗には、過去の売り上げに応じて協力金を支給されるが、林さんのバルは2月に開業したばかり。「過去の実績がなく、どう申請したらいいのか」と戸惑いを隠せない。

 唐津市中心部でラウンジなど2店舗を経営する「椿」も午後8時に閉店した。「8時までは予約のみ。本来は8時開店だから、うちはほとんど仕事ができない」と経営する宮丸佳奈子さん(44)。市内のスナックや居酒屋でクラスター(感染者集団)が相次ぎ、昨年以上に客足が遠のいていると感じている。

 要請期間は飲食店などと協力して「からつ応援弁当」を販売する。夜の仕事から離れた従業員もいて「気持ちを切り替えて、どうにか雇用を生み出していかないと」と顔を上げる。

 佐賀市では東京五輪の聖火リレーが中央大通りを通り抜ける中、午後8時を迎えた。通り沿いの「蛇の目鮨」は、予約5件のうち、4件はキャンセル、1件は来店を早めてもらった。三代目の川﨑正雄さん(46)は「要請自体は残念で、仕方がないこと。感染者が増え、要請しなくてもいいぐらい夜出歩く人は減っていた。我慢するからこれで終わってほしい」と言い、のれんを外した。(中村健人、横田千晶、宮﨑勝)

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