一度きりと思っていた晴れ舞台の“再走”に、心が震えた。佐賀県内を走る聖火リレー最終日の10日は、57年前の東京五輪でも聖火を運んだ3人のランナーが出走を果たした。「2回も大事な役割をさせてもらい感謝の思いでいっぱい」。半世紀以上前の忘れ得ぬ感激をエネルギーに、聖火をつないだ。

 三養基郡上峰町の第1走者を担った原槙和彦さん(76)=同町=は、2019年4月に頸椎(けいつい)を損傷して両手足にまひが残った。寝たきりの生活が続く中、湧き上がってきたのは「走れなくてもいいから、もう一度自分の足で歩きたい」という思い。懸命のリハビリの末、つえをついて歩けるまでに回復した。

 「ありがとう、ありがとう」と繰り返しながら歩みを進める姿を沿道の家族や知人が拍手で後押しした。妻のキヨミさん(77)は「倒れんよう祈ってました」。目をうるませて見守った。娘と孫の手には前回の聖火リレーで使用したランニングシャツとトーチがあり、原槙さんは「当時の風景を思い出しながら、貴重な時間を過ごせた」と優しくほほ笑んだ。

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