新型コロナウイルス変異株の猛威は大型連休中に勢いを増した。7日の対策本部会議後、山口祥義知事が記者団を前にあえて言い直した場面に事態の緊迫度が伝わってきた。「医療現場が非常に厳しい状況に置かれつつある…いや、もう厳しい状況になっている」

 県外での飲食が感染リスクであることは疫学調査から分かっていた。県は大型連休を前に県外との往来自粛を呼び掛け、それまでも人口比で全国4位だった専用病床をさらに27床増やした。しかし、連休後は感染者が高止まりし、7日は過去最多の59人になった。

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 このうち40人が新規に検査を受けた人で、約半数が20~30代。帰省した人や県外で交流した若い世代が多いという。また、感染者が県庁所在地など特定の地域に集中せず、全県的に広がっており、比較的に規模の小さな感染者グループが多数あることも、同時並行で対応を強いられる側面から極めてやっかいだ。

 一つずつ感染経路を追い込む疫学調査と、陽性者を100パーセント、入院かホテル療養させる医療環境を誇ってきた佐賀県。いみじくも山口知事は連休前の全国知事会で「1件1件把握して対策ができるのは1日50件が限度だ」と強調していた。それだけに59人という数字の衝撃は大きい。

 山口知事は、市町を限定して対策を打つ「まん延防止等重点措置」の適用要請は見送った。全県的に感染が広がる佐賀県の特徴と、自らの判断で機動的に期間の延長や解除を判断できることを重視し、県独自の「非常警戒措置」を選んだ。

 対策本部会議で「正念場に入っている」「ぎりぎりの状況という認識を持たなければならない」と繰り返した山口知事。県民と危機感を共有できるか、発信力が問われている。(栗林賢)

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