子どもたちの受難が続く。コロナ禍で3度目の緊急事態宣言が出る中、「こどもの日」を迎えた。せっかくの大型連休だから、心と体を休めてのんびり過ごしてほしい。でも、どこにも行けず、自宅でじっとしている子も多いに違いない。

 変異株が猛威を振るい、ワクチンの接種も進まない。この1年数カ月、人々のいらいらは募るばかりだ。しわ寄せは一番弱いところに来る。それは急増する小中高校生の自殺者数に表れている。厳しい状況の今、子どもをしっかり支えたい。

 警察庁のまとめでは、昨年自殺した小中高校生は過去最多の499人で、前年より100人も多い。特に女子高校生が大幅に増えている。一斉休校後の5月ごろから増加し、夏休みが短縮された8月が目立った。

 新学期が始まったばかりだが、子どもたちは息苦しく、ストレスがたまっているだろう。大型連休明けも心配だ。命が一番大事。いじめられたら我慢せず逃げていい。本当につらいなら一時期、休むのも手だ。後は何とでもなる。親は登校を無理強いしない方がいい。

 文部科学省は小中学生に1人1台のデジタル端末をほぼ配備し終え、4月から授業で使う場面が増えた。コロナ禍にリモート授業で対応する学校もあり、うまく活用できれば、自宅でも学習できる。その環境を整える支援が必要だ。

 今は親も先生も大変だ。在宅勤務が推奨され、狭い家でけんかが増えているかもしれない。先生も過酷な労働環境で志望者が減る中、コロナ対応に追われる。ただ、大人と違い、つらくても口にできない子どもは多い。気を使い、どうしていいか分からないからだ。

 悩みの原因が家庭にあることも珍しくない。苦難を「当たり前」と思って抱え込む。その一つが国の初めての調査で分かった。大人に代わり、家事や介護など家族の世話をする「ヤングケアラー」が中学生で5・7%(約17人に1人)、高校生で4・1%(約24人に1人)に上った。1クラスに1~2人いる計算だ。

 貧困や虐待など困り事が同時進行する家庭も多いが、支援を受けるには自分で申し込まなければならない「申請主義」の壁が立ちはだかる。困難を抱えた家庭ほど、制度の存在が届きづらい。

 ただ、日本も変わりつつある。無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」や、ボランティアらによる学習支援が広がり、助けを求めれば支えてくれる大人はいる。さらに今はスマートフォンという武器がある。検索すれば、教育委員会や児童相談所などの相談窓口につながるはずだ。つらさを訴える手段があることをもっと知らせたい。

 大人にできることは何だろう。国連の「子どもの権利条約」は子どもを権利の主体とし、意見を表明する権利を認めている。耳を澄ませて小さな声を聴こう。孤立していないか目配りし、声掛けしてほしい。できる範囲で「おせっかい」を心掛けてはどうか。

 菅義偉首相は「こども庁」の創設に意欲を示す。教育予算を増額し、権限を与え、人材を確保できるのか。肝心の政策の中身は。名前ばかりで、次期衆院選向けのポーズなら意味がない。子ども本位の議論を求めたい。

 子どもは国の宝。「子どもファースト」を念頭に、社会全体で育てていこう。(共同通信・池谷孝司)

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