キューバの首都ハバナで治験中の「ソベラナ02」の接種後に検査を受ける医療従事者=3月24日(ロイター=共同)

 【ハバナ共同】カリブ海の社会主義国キューバで新型コロナウイルスの国産ワクチンの開発が着々と進んでいる。4月下旬時点で5種類を開発中で、うち二つが臨床試験(治験)の最終段階にある。東京五輪の出場予定選手も接種を済ませた。政府は将来的に外国人訪問者にも提供する可能性に触れており、貴重な外貨獲得源である観光の起爆剤にしたい考えだ。

 「選手から医療関係者への最良の贈り物は鍛錬を続けて東京に行くことだ」。東京五輪出場が決まっているボクシング男子のリオデジャネイロ五輪金メダリスト、フリオ・ラクルス選手(31)は3月25日、最終段階の治験に入った国産ワクチン「ソベラナ02」の第1回接種を受けた後、キューバメディアに話した。この日は110人以上の五輪出場選手や関係者らが接種した。

 他に治験の最終段階に入っている「アブダラ」など4種類が開発中だ。先行の2種類の治験が終われば、キューバは世界保健機関(WHO)のお墨付きを待たずに5月までに首都ハバナの住民の大多数に、8月までに国民約1130万人の60%に接種する考えだ。反米の盟友イランやベネズエラ、左派政権のメキシコやアルゼンチンが治験への協力や購入の希望を示している。

 新型コロナワクチンの開発国は大国が多い中、キューバは異色の存在だ。1959年の革命以来、医療と教育の保障を旗印に掲げる同国では80年代にフィデル・カストロ国家評議会議長(当時)が対立する米国の医薬品に頼らず自立できるよう、バイオテクノロジー産業や研究者の育成に力を注いだ。

 デング熱の治療薬や髄膜炎用など多数の国産ワクチンを生み出してきた実績があり「薬品開発能力には定評がある」(現地外交筋)。ただ米国による長年の経済制裁などで、食料品や通常の医薬品すらも不足しているのが実情だ。新型コロナワクチン開発に必要な機器や原料入手に影響が出ており、保存容器などが不足しているとの報道もある。

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